オン・ザ・ジョブ・トレーニングが昔から私の学ぶスタイルです。日本IBMに入社したときも、未経験の部署に異動したときも、仕事の本質はボスや先輩に習い現場で勉強しました。

理系(物理学)出身ですが、若いころから広報やマーケティングなど数多くの仕事を経験しました。当時は「なぜ、広報を……」と卑屈になることもありました。正直、興味もなければ、知識もない。でも先輩から「与えられた仕事もできないのに、文句を言うな」と怒られて我に返り、それ以降は素直に、仕事のイロハを必死にインプットするようにしたのです。新しいことを手がけるときは、関連資料や本を読み漁り、それでもわからなければ「すみません、教えてください」と詳しい人に頭を下げ、理解できるまで「なぜ?」を繰り返す。恥をかくとかカッコ悪いとは思いません。「うのみにしない」「わかったフリは絶対にしない」が自分のルールでした。

聞いて考えて理解して質問して……

<strong>ベルリッツインターナショナルCEO ベネッセコーポレーション副会長 内永ゆか子</strong>●1947年、香川県生まれ。<a class=東京大学理学部卒業後、日本IBM入社。2007年、専務取締役を退任。同年よりNPO法人J-Win理事長。08年4月より現職。ベネッセコーポレーション副会長を兼務。著書に『部下を好きになってください』がある。">
ベルリッツインターナショナルCEO ベネッセコーポレーション副会長 内永ゆか子●1947年、香川県生まれ。東京大学理学部卒業後、日本IBM入社。2007年、専務取締役を退任。同年よりNPO法人J-Win理事長。08年4月より現職。ベネッセコーポレーション副会長を兼務。著書に『部下を好きになってください』がある。

ぼやっとした思考やアイデアを誰かに話すと、相手から「へぇ、そうなの?」「それって何?」「どうして?」と反射的に素朴な疑問が返ってきます。こうして対話しているうちに、自分が何について理解できていないのかがわかってきます。対話相手がサウンディング・ボード(反射板)の役割をしてくれるのです。私がサウンディング・ボード役によく選んだのは専門知識をもたない母親でした。話していると自分の思考のなかであやふやな部分があぶり出され、課題の輪郭が見えてきます。

そして最も重要なのは仕事の知識や流れなど、教えてもらった内容を鵜呑みにせず徹底して考えるということです。一生懸命に考え抜き、自分の腹に落ちれば、それでよし。腹落ちしなかったら「私はこう思いますが、どうですか?」と提案してみる。これはどの部署でも応用できます。あまりに畑違いの部署であれば、最初、そこのスタッフとは“言葉”すら通じないこともあります。けれど、聞いて考えて理解して質問して……という自分が培った学びのサイクルを実践すれば新しい分野でも怖いことはありません。でなければITの開発・製造をしていた人間が、こうして英会話ビジネスの経営に挑戦しようとは思えなかったでしょう。

この「学びのサイクル」も現場で身につけた目に見えないスキルでした。