「就労不能」は医師に認定してもらう

労務不能とは、勤務先でまったく働けないことを意味します。元の事業所で半日だけ勤務したり、配置転換で軽い仕事をしたりした日は、就労とみなされ、その分の傷病手当金はもらえません。療養中にときどき出勤した場合だと、出勤日は支給対象外ですが、休んだ日の傷病手当金はもらえます。休んでいる間の軽い副業や内職は差し支えありません。

傷病手当金を受けるには、加入している健康保険の保険者(保険の運営者)に、支給申請書を提出します。申請書の用紙は、職場の人事労務部門または保険者で入手します。協会けんぽの用紙は、ホームページからダウンロードできます。

この制度は、将来の見込みではなく、過去の就労不能について支給されます。申請書には、本人が書く欄のほか、過去の一定期間に就労不能だったことを認める医師の意見の欄と、事業主による勤務実績・賃金の証明の欄があります。早めに受診しないと、過去に就労不能だったことを医師に認定してもらえないので、注意してください。医師に意見を書いてもらい、人事労務部門で事業主の証明を受けたら、保険者に提出します。

医師の意見記入には健康保険が適用され、自己負担は3割負担なら300円。保険者によっては月単位の書類提出を求めますが、蓄えがあれば数カ月分まとめた申請でもかまいません。支給対象日から2年たつごとに時効になっていくので、その前に申請します。

支給期間は「1年6カ月目」まで

支給される期間は、最初の支給対象日から数えて1年6カ月目まで。いったん職場復帰して、同じ病気やけがが治らないまま再び休んだ場合は、待期期間なしで支給が再開されますが、不支給だった途中の期間も含めて1年6カ月で打ち切りになります。延べ1年6カ月の給付ではなく、カレンダー上で1年6カ月たてば、おしまいです。

ただ、初診日から1年6カ月以上たっていて、その病気やけがによって、ある程度の障害があるなら、障害年金を受けられるかもしれません(障害基礎年金と障害厚生年金のうち、2階部分の障害厚生年金は、厚生年金保険の加入期間に初診日があることが条件なので、在職中に医療機関にかかっておくことが大切)。

一方、同じ病気でも、症状がなくなってから相当な期間がたって再発した場合や、別の病気やけがになったときは、改めて最長1年6カ月間、傷病手当金を受給できます。

なお、病気やけがで休んでいて給料がゼロになったときも、社会保険料や住民税はかかります。天引きできないので、一般的には会社を通じて自分で払う必要があります。