――少子高齢化を食い止めるために、日本は何をすべきだとお考えですか。

日本には次の3つの選択肢があります。(1)子どもを増やす、(2)移民を受け入れる、(3)生活水準を下げる。あなた方は(1)と(2)には「NO」と言っている。では(3)を受け入れるかどうか、ということです。

私は日本人ではありませんし、これはあなた方自身の問題です。まだ決心がつかないのなら、目の前の数字を直視して、これから20年後、30年後のことを想像してみてください。

もちろん少子化は日本だけの問題ではありません。ヨーロッパやシンガポールなど、同様の問題を抱えている国はたくさんあります。ですが他の国は、合法的あるいは非合法的に移民を受け入れている。ところが、日本はいまのところ移民を受け入れる姿勢を見せていません。出生率が下がり、人口が減り、高齢化は進む。でも移民を受け入れない。少子化問題において、世界で最も厳しい状況にあるのに、膨らみ続ける財政赤字にも苦しんでいる。この組み合わせは最悪です。

結果として国力が衰えれば、国外に逃げ出す若い人も増えるでしょう。中国、ベトナム、シンガポール、オーストラリア、ブラジルなどに、どんどん日本人が流出し、人口がますます減少する。東京は大好きな都市ですが、このままでは、この先、同じようにすばらしい都市であり続けるかどうかはわかりません。これは私個人にとっても残念なことです。寿司も好物のうなぎも、そして美しい日本女性も(笑)、この世から消えてなくなるかもしれませんからね。

――投資対象としての日本については、どのようにお考えですか。
中国人をはじめとしたアジア人が海外に行きやすくなり、特にアジアの観光業は、今後、非常に期待できる投資先になると思われる。(PANA=写真)

中国人をはじめとしたアジア人が海外に行きやすくなり、特にアジアの観光業は、今後、非常に期待できる投資先になると思われる。(PANA=写真)

当然ながら、日本がすぐに消えてなくなるとは思っていないので、短期的には楽観視しています。日本円も変わらず保有していますよ。いまも昔も、私の投資対象は主にコモディティ(商品)と通貨です。株式はあまり持っていませんが、日本株はまだ割安なので、購入を検討しているところです。

日本の株価は長期にわたって低迷してきました。1987年以来、20年以上この状況が続いているので、そろそろ流れが変わってもいい。いまが「買い時」だとは言いませんが、前向きに検討するのは悪くない。日本株はアメリカ株よりは魅力的です。もっとも、個別銘柄を買うのではなく、指数連動型のインデックスファンドかETF(上場投資信託)にするつもりです。そのほうが手間がかからない。私は怠け者ですからね。

※すべて雑誌掲載当時

(澁谷高晴=撮影 PANA=写真)