インドの自動車市場で40%超のシェアをもつスズキ
わが国の文化に基づく自動車の開発は、国内自動車メーカーの競争力にも無視できない影響を与えてきた。軽自動車を得意とするスズキは、インドの自動車市場で40%超のシェアを確保している。
インドでわが国の軽自動車がそのまま使われているわけではないが、スズキは国内の軽自動車事業で培ってきた技術力などを活かして、インドの文化にマッチした自動車を生み出し、シェアを獲得している。
従来、軽自動車は普通車よりも価格が抑えられてきた。加えて、インドはわが国同様、原油の輸入国だ。スズキは、価格と燃費面で優位性のある軽自動車をベースに、インドの交通事情や生活にマッチした“マルチ800”を低価格で販売し、ヒットを実現したのである。
軽自動車のビジネスは国際展開にも適応可能
このように考えると、軽自動車開発の背景には、わが国における人々の生き方が反映されてきたことがわかる。
日本自動車販売協会連合会などの発表によると、2018年の車名別新車販売台数では、ホンダの軽自動車「N‐BOX」が2年連続で首位となった。軽自動車はトップ10のうち7車種を占め、全体シェアも3分の1を越えている。
一部には「軽自動車が売れているのは、デフレ経済からの脱却が実現していないからだ」という主張があるようだが、それは表層的な見方に思える。また、「軽自動車は日本の事情のみに適応してきた“ガラパゴス商品”にすぎない」という主張にも、説得力があるとは言いづらい。
ガラパゴス化とは、その商品が特定の市場に適応しすぎた結果、国際標準からかけ離れていくことをいう。スズキのインド戦略は、軽自動車のビジネスが国際展開にも適応可能であることを示すよい例だ。