抜け毛、肌荒れ……原因不明の症状に悩まされた日々

でも、だんだんと体調が悪化していった。髪の毛は抜けてくるし、肌は荒れるし、一週間の半分ぐらいはおなかを下していました。僕は病院嫌いで普段はまったく行かないのですが、調子が悪すぎたので、診察を受けることにしました。

いくつもの病院で診てもらいましたが、原因はわかりません。異常と言えば、白血球の数が基準値の3倍あることくらいでした。人間は興奮状態にあるときや集中しているときには、狩りの本能で、ケガをしてもいいようにと白血球が増えるようです。当時の僕も常に相場を気にしていて、夜に寝てもすぐに起きてしまうという興奮状態が続いていたので、白血球の数が増えてしまったのだと思います。

肌荒れがひどかった時には、高須クリニックにも行きました。診察をしてくれたのは高須院長ではなかったのですが、担当の先生からは「南の島にでも行って休んだらよくなると思いますよ」とアドバイスをもらいました。

その後は、前場で30分から40分集中してトレードし、それ以外の時間はゲームをしたり、外へ遊びに行ったりするようになりました。それで体調がだいぶ良くなったので、長時間トレードするのは諦めました。自分の健康と資産を天秤にかけたときに、まあ、いまのバランスがいいんだろうと思っています。

相場混乱時に真っ先に考えるべきこと

――cisさんは、2005年の「ジェイコム株誤発注事件」でも大勝ちしています。一瞬の出来事でしたが、よく大きな決断ができましたね。

ジェイコム株誤発注事件
みずほ証券の担当者が東証マザーズに新規上場した人材派遣会社のジェイコムの株を誤発注した事件。午前9時27分で初値が付く前に「61万円で1株の売り」と注文するところを「1円で61万株の売り」と入力してしまったことに起因する。
誤発注の直前には90万円前後が予想されていたが、そこに大量の売り注文が出されたので初値は一気に下がって、67万2000円になった。その後も下がり続けてわずか3分後の9時30分にはストップ安の57万2000円に張り付いた。
みずほ証券の担当者は、すぐにミスに気付いて取り消し注文をしたが、当時の東京証券取引所のシステムでは取り消すことができなかった。この事件で20億円以上の利益を稼いだB・N・F氏は、その後「ジェイコム男」と呼ばれた。

【cis】当時、何か重大な事件が起こると、2ちゃんねるの株掲示板に投稿されるので、リアルタイムで知ることができたのです。

僕の場合は、まず誤発注かどうかを調べるため、ジェイコムの上場資料を確認しました。すると、61万株は発行済み株式数の約40倍だとわかった。誤発注だと確信して、とりあえず買えるだけ買ってみようと思いました。ここまでにかかった時間は約20秒でした。

パソコンのウインドウを次々と開いて片っ端から500株ずつの買い注文を入れていきました。結局、買えたのは3300株。このとき僕が心配したのは、取引が無効にされないかということ。売り注文が全部買われると兆円レベルの損失になるので証券会社に負担できるはずありません。

そこで買った10分後に最初のストップ高になった時点ですべて売却し、約6億円の利益を得ました。知り合いの個人トレーダーの中にはもっと稼いだ人がいましたが、僕は利益の最大化よりも、どうすれば日本政府にチャラにされないかを考えていましたね。

――どうしたら、cisさんみたいにチャンスをつかむことができるのでしょうか。

【cis】ジェイコムの時には、日本で大きな誤発注が起こったらどうするか、ということを考えていたから勝てました。僕は常に仮説を考えています。「こんなことが起きたら、こんな展開で儲かる」というアイデアを数十個は持っています。それがたまに現実になることがあって、そのときは「はい、きた」という感じです。