調査した限りでは、13品目のうち、西友のほうが安かったのは1品目のみだった。オーケーのほうが安かったのは11品目にのぼる。西友にこの理由をたずねたところ、「総合的に判断し、価格設定をしております。詳細については非開示とさせていただきます」(西友広報部)とのことだった。

ここで対象にした品目以外でも、オーケーのほうが安いものが多かったと感じる。さらにオーケーでは、会員組織「オーケークラブ」に加入していれば、酒類を除く食料品について約3%割引になるサービスが存在している。

「EDLC」を徹底したオーケーの工夫

なぜ西友は同じEDLPを採用しながら、オーケーほど低価格を実現できていないのか。それはローコスト経営が徹底できていないためだろう。

EDLPには、EDLC(Every Day Low Cost)が欠かせない。オーケーは、EDLCを徹底している。商品の仕入れ面では、トップシェアのブランドにこだわらず、カテゴリー内での品目数を絞り込み、そのかわりに大量に仕入れることで売価を下げている。

店舗運営においては、レジ袋をあえて「1枚6円」と高額に設定し、ここにかかる経費をまかなっている。また、刺し身パックにツマを入れなかったり、弁当などにしょうゆやドレッシングなどを付けずに別売りにしたりして、コストを削減している。ビールやジュースは常温で陳列して、冷蔵設備代や電気代を節約しているのだ。

世界最大のスーパーでも抜きん出られず

一方の西友はどうか。ウォルマートはもともと、メーカーと直接取引し、大量仕入れによる低価格を実現してきた。しかし、日本ではメーカーとのパイプを十分に築けず、規模の経済を思うように発揮できていない。世界最大のスーパーではあるが、日本での知名度や影響力は限定的で、協力的なメーカーが多くはなかったのだ。

販管費の面でも十分な成果を出せなかった。発注や在庫確認などができる「スマートシステム」や、取引先と販売・在庫情報を共有できる「リテールリンク」を導入するなど、新しいシステムを駆使して業務や物流の効率化を進めてきたが、競合企業も同様の施策を行っており、西友だけが抜きんでることはなかった。