2000年度(2001年3月期)の平均年収は、トヨタ785万円、ホンダ769万円、日産615万円だった。2017年度は、3社とも上昇(トヨタ831.9万円、ホンダ808.6万円、日産818.4万円)しているのは表でも明らかである。

自動車業界ではトヨタとホンダがトップ水準。トヨタ系部品メーカーのデンソーを下回る日産は2番手グループ。以下、いすゞ自動車やマツダなどが続くという構図が長年続いてきた。

それだけに日産の上昇度が目立つ。2017年度はデンソーを上回った。三菱自動車も2000年度からは約140万円の上昇。両社の経営トップから解任されたカルロス・ゴーン氏の高額報酬には遠く及ばないまでも、従業員の給与もアップしてきたことは確実のようだ。

平均額ダウンの一因は「従業員の増加」か

ただし、リーマン・ショックの傷跡は今も残る。赤字転落など経営的に大きな打撃を受ける直前の2008年3月における平均給与額は、トヨタ829万円、ホンダ823万円だった。トヨタは現在とほぼ同水準。ホンダはリーマン・ショック以前の水準には回復していない。

ベースアップや賞与の増額などで支給総額は増えているものの、従業員数も増加したことで平均額がダウンしているという例も多いようだ。トヨタでいえば17年度従業員は前年度比1015人増である(単体ベース)。給与水準が高かった団塊の世代が退職した影響もある。またデンソー、いすゞなどの平均額ダウンも従業員の増加が要因だと推測される。それらを考慮しても、賃金上昇が大きな流れになっているというよりも、回復傾向にある、と見たほうがよさそうだ。