寺社でもらえる「御朱印」が人気だ。特に改元前後の日付入りは「レアもの」として、ネットなどで高額転売されている。宗教社会学者の岡本亮輔氏は「転売目的で御朱印に並ぶ人たちは問題だ。寺社は対応を検討したほうがいい。一方、転売品を高額で買う人たちを非難するのは間違っている」と指摘する――。

改元記念の御朱印を求めて各地に行列

新元号の入った御朱印(著者撮影)

平成から令和への改元にともない、御朱印が話題になっている。平成最終日(4月30日)や令和初日(5月1日)の日付の入った御朱印をもらおうと、各地の神社仏閣に列ができた。伊勢神宮内宮では宇治橋を越えて御朱印を求める人が並び、明治神宮でも数時間待ちの行列ができたという。

宗教離れが言われて久しいが、改元という時代の区切りに、それなりの数の人が神社仏閣を訪れたわけである。ほかに行くところがないだけかもしれないが、そういう時に、わざわざ寺社に行くというのはやはり興味深い。

一方で、問題になっているのが御朱印の転売だ。筆者が確認したところ、伊勢神宮をはじめ、高野山、上賀茂神社、那智大社、日枝神社など、有名どころの御朱印がネットオークションなどに出品されている。特に目立つのが、福岡県太宰府市にある坂本八幡宮の御朱印だ。

「令和」ゆかりの神社では氏子が対応

「令和」の典拠となった万葉集序文では大伴旅人の邸宅での宴会の模様が描かれており、坂本八幡宮は、その旅人邸の跡地とされる。現在、坂本八幡宮には神職は常駐していない。氏子が協力して御朱印を求めて殺到した人々に対応し、疲労で体調を崩す氏子がいたという報道もある。そうした御朱印が、高ければ数万円で転売されることに違和感を持つ人は多いだろう。

宗教者からの注意喚起もなされた。いわく、御朱印は納経や参拝の証しとして頂くものであり、それをもらうこと自体が目的ではない。スタンプラリーのスタンプとは違う――寺社の管理者側からすれば当然の主張だろう。

他方で、カラフルだったりデザイン性に富んでいたりと、凝った御朱印を頒布する寺社がある。季節ものの図柄をいれた御朱印を月替わりで用意している神社もある。ツイッターやインスタグラムで「#かわいい御朱印」「#カラフル御朱印」などと検索すれば、手の込んだ数々の御朱印を見ることができる。それゆえ、「寺社側こそが御朱印集めのスタンプラリー化を進めている」という声もある。