ヤフオクでは「元号またぎ」御朱印が高騰

一方、御朱印を買う側の人々の心理も興味深い。たとえば「ヤフオク!」を検索すると、4月30日と5月1日の両日の明治神宮の御朱印が「元号またぎのレアモノ」として出品され、安くても4万円、高ければ30万円という価格で落札されていることがわかる(画像参照)。これは御朱印をもらう時に納める300~500円の金額とはかけ離れている。

画像は、編集部が5月17日にヤフオクで「明治神宮 御朱印」の落札相場を調べた結果。最高落札価格は「2500万1000円」となっているが、この入札はイタズラで取引は成立していないようだった。

30万円(売り上げ)から500円(仕入れ値)を引き算して利益を計算すると、違和感を覚えざるをえない。だが、こうした引き算をしてしまうこと自体、非宗教的な発想なのかもしれない。原価を知りつつ、それでも30万円で落札している人が存在するのだ。

落札したのは、お金があり余っている人かもしれない。あるいは、実際に現地を訪れて数時間並びたくはないが、何か改元の記念になるものを手に入れたい人が落札しているのかもしれない。いずれにせよ、改元の記念として御朱印を入手しようとすること自体、かなり宗教的な発想と言えるのではないか。

四国遍路の納経帳も以前から転売されていた

御朱印がネットオークションに出品されるのは、今回の改元に限ったことではない。四国遍路の納経帳などは以前から出品されていた。四国遍路では、八十八カ所の札所(ふだしょ)と呼ばれる寺院をまわる。そして札所ごとに読経し、納経帳に御朱印をもらう。さらに、八十八カ所を巡った後、高野山奥の院にお参りするのが良いとされている。

ネットでは、高野山も「コンプリート」した89カ所の御朱印のある納経帳が数万円でいくつも出品されている。四国遍路では、納経帳だけでなく、掛け軸に御朱印を押してもらう「納経軸」もあるが、この場合はさらに高価になる。そして、ネット取引が盛んになる以前から、遍路が終盤にさしかかった巡礼者が納経帳や納経軸を盗まれるといった被害が生じていたのである。