加工でコンプレックス隠し

そして、スマホのカメラといえば自撮りだ。顔に動物の耳を付けたり、目を大きくしたりといった加工ができるアプリ「SNOW」は、2016年にリリースされ、その後爆発的な人気となった。

TT総研が2018年9月に発表した「10代のスマホサービストレンド」では、「10代がほぼ毎日使うライフスタイルアプリ」でSNOWが1位、3位に同じくSNOW社の「B612」がランクインしている。筆者の取材でも、「BeautyPlus」や「Camera360」といった自撮り加工アプリの人気は高く、自分の好みのアプリや好きな加工がそれぞれ決まっている。

人気のあるエフェクトは、目をくりくりと大きくする加工だ。また鼻をハート記号で隠したり、動物の鼻で口元を隠すなど、コンプレックスを感じやすい箇所にイラストが入るエフェクトもよく使われる。また、こうしたいかにも加工した自撮りだけでなく、さりげなく目が大きくなるとか、肌のシワやホクロが自動で消える美顔加工も支持されている。

スマホのライトを“レフ板”に

ある女子高生は、自撮りをするときは友人たちで暗黙のルールがあるという。

「一人がカメラを構えたら、もう一人がスマホのライトを付けて、下から顔に当てるの。プリクラみたいに盛れるから」

つまり、スマホのライトをレフ板の役割にして、肌を美しく見せるのだ。これは彼女たちの間での常識らしく、違う学校の友人と撮るときに誰もライト係をやらないことに驚いたという。ちなみに、スマホにクリップで装着する自撮り用ライトも販売されているのだが、私の取材の限りでは女子中高生はそれほど利用していないような印象だ。

彼女たちは学校の休み時間や遊びの最中に何十枚も自撮りする。自撮り自体が遊びであり、どれだけ盛れたかが楽しいのだ。自撮りは友達とすることがほとんどなので、全員が盛れている写真を選び、SNSに投稿する。少し前にはやった「変顔」もいまだに健在で、わざと驚いた顔をしたり、アゴを引いて二重顎にしたりといった写真も撮る。