建設業、製造業、運輸業では初任給が高止まり

経済の動向は労働市場の需給を左右する。景気が良くなれば、経営者は設備投資を増やすと同時に採用を増加させるだろう。それが、新卒者の採用増加と初任給の増加に無視できない影響を与える。

足元、わが国では景気が持ちなおしてきた中で、人手不足が深刻化している。少子化、高齢化と人口の減少が進む中、大企業から中小企業に至るまで、多くの企業が若年層の労働力を確保したい。それも初任給の増加を支える要因だ。

業種別にみると、飲食・宿泊関連では高卒者から大学院修士課程修了者まで幅広い新卒者の初任給が大きく増加している。また、大学学部卒の新卒者の初任給は、建設業、製造業、運輸業などで平均を上回っている。

それでも「景気回復は実感できない」と答えるワケ

わが国で初任給が増加傾向をたどってきた一方、多くのアンケート調査では「景気回復は実感できない」と考える人が多い。報道各社の世論調査を見ると、景気の回復を実感できないと答える人の割合は50%を優に上回る。その一方で、2018年6月に内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」を見ると、昨年に比べ生活が上向いたと感じている人の割合は7.2%にすぎない。

景気の回復が実感できない理由はさまざまある。重要な理由の一つと考えられるのが、わが国の可処分所得が増えていないことだろう。可処分所得とは、税込み収入から税金や社会保険料などを差し引いた額(いわゆる手取り収入)をいう。

可処分所得が増えるということは、自由に使うことができるお金が増えるということだ。自由に使うことのできるお金が増えれば、わたしたちは、ほしいモノを買ったり、旅行に行ったりして満足度を高めることができる。それが、経済成長の恩恵、あるいは景気の回復を実感するということである。反対に、自由に使うことのできるお金が増えなければ、そうした喜びを実感することは難しいだろう。

2000年の可処分所得は47万円程度だった。2017年の可処分所得は約43万円だ。所得が増えない状況の中、景気回復が実感できないという人が多いのは当然だろう。