そもそも、将来の不安をすべて保険でカバーしようと考えてはいけません。将来のリスクへの対処は、保険と貯蓄の組み合わせ。保険を掛けすぎれば貯蓄はできません。しかし、貯蓄が十分でない場合には、いざというときの保障がない。バランスが重要なのです。

貯蓄目的であれば「保険」より「貯金」のほうがいい

そこで、まずやるべきは自分で現在の家計の状況を把握すること。家庭の収入と支出の金額を洗い出したうえで、将来起こりうるリスクを考えていきます。信頼できそうな保険の本を一冊購入し、夫婦で勉強しながら貯蓄で賄えるのか、やはり保険での保障が必要かを検討します。自分の人生ですから、人任せでいいわけがないのです。

保険ショップや営業マンは「貯蓄にもなりますよ」と終身の生命保険を勧めてきます。しかし、終身保険は払込期間が長く、途中で解約すると、元本がマイナスになってしまうことがほとんど。貯蓄目的であれば、必要なときにいつでも引き出せる「貯金」をしたほうがずっと使い勝手がいいわけです。

貯金の方法として、毎月の給料日に決まった金額が自動的に積み立てられる「自動積立定期」というサービスもあります。そうすれば、保険料が天引きされるのと同様に貯金することができるでしょう。

清水さんのケースでは、妻は専業主婦で夫の収入に頼っています。夫が事故や病気で働けなくなることが最大のリスクです。そのリスクに備えようと保険ショップに駆け込むのでしょうが、その前に公的保障を確認しましょう。

たとえば、生計を維持する人が亡くなった場合、残された遺族には「遺族年金」が支払われます。国民年金に加入している自営業者なら「遺族基礎年金」、厚生年金に加入している会社員なら「遺族基礎年金」に加え「遺族厚生年金」を受け取ることができます。

もらえる金額は毎年1回、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を見て、現時点での厚生年金の支給額を確認してみてください。もし会社員だった夫が亡くなった場合は、厚生年金の4分の3の金額が遺族厚生年金として毎月支払われます(厚生年金加入期間が300月未満の場合)。さらに、18歳未満のお子さんがいる場合には、定額の「遺族基礎年金」も加算されます。今回の場合、住居は賃貸ですが、もし住宅ローンを支払って持ち家があれば、夫が死亡したことで団体信用生命保険が適用されるので、ローンは消滅します。

さらに、会社員の場合には勤務する会社から死亡退職金や弔慰金といった制度もある可能性が高いので調べてみましょう。