「看板大臣」片山さつき氏が多用している
「ご飯論法」は今国会でも散見される。最たる例は片山さつき地方創生担当相。
片山氏の写真付きの巨大な看板が、さいたま市にあり、公職選挙法違反の疑いがあるという指摘を受けた11月7日。片山氏は「書籍発売時の宣伝広告であり、政治活動のためのものではない」としたうえで、同じ看板はさいたま市の1カ所しかないと思うと答えていた。
しかし2日後に浜松市や名古屋市にもあったことが判明。「虚偽答弁だ」との指摘を受けた。これに対し片山氏は浜松市や名古屋市の看板が、違う書籍の宣伝のためのものだったとしたうえで「この書籍の看板、これと同じものは、ここ(さいたま市)にしかありませんと明確に申し上げた」と釈明した。
看板はあるけれど、全く同じ看板はない、というのは立派な「ご飯論法」だ。
曖昧な答弁をしたり、同じ内容を繰り返したり
片山氏は国税庁への口利き疑惑で「私設秘書」として仲介したとされる人物について「秘書ではない」と否定。ただしその後の答弁で、この人物は私設秘書用のバッジが交付されていたことが判明している。これにも「ご飯論法」という指摘が出た。
片山氏と並んで国会で追及を受ける桜田義孝五輪相も、質問とずれた答弁を繰り返しているが、これは計算して「ご飯論法」をしているのか、単純にかみ合わないだけなのかは分からない。
他の閣僚たちも、怪しげな答弁をすると、直ちに、SNSなどで「ご飯論法だ」などと拡散される。最近は、厳密に「ご飯論法」とは言えないやりとりでも、曖昧な答弁をしたり、同じ内容を繰り返していたりすると「ご飯論法」と認定されることもある。閣僚たちも大変だ。
いつまでも同じような質問ばかりする野党
「ご飯論法」が横行する状況は、野党にも問題がある。今年に入り通常国会では「森友」「加計」問題の追及が続き、秋に臨時国会が召集されると片山、桜田の2人を中心にした新人閣僚への批判が行われてきた。
しかし、その間、野党の追及によって辞任に追い込まれた閣僚は1人もいない。野党側が、一撃で仕留める材料を持たず、報道された疑惑を元に質問することが多いから、閣僚の方も、のらりくらりとかわしていればゴングに救われる。だから「ご飯論法」のような答弁が続発 するのだ。
そして有権者たちは問題閣僚たちに怒りを感じつつも「いつまでも同じような質問ばかりしている」と野党にも不満を持ち、内閣支持率は底割れしないでいる。