2017年は国鉄分割民営化から30年目を迎えた東日本旅客鉄道(JR東日本)。4月に就任した深澤祐二社長は「数年後に東京の人口は減少に転じるとされている。私の世代は旧国鉄から勤めている最後の世代。次の30年どうしていくのか、その方向性を定めることが社長としての使命だ」と力を込める――。
シンガポールにルミネ、台湾にアトレを出店
――今後の事業展開は。
【深澤】7月にJR東日本グループの2027年までの経営ビジョン「変革2027」を発表した。現在、運賃収入とそれ以外の収入の比率は7対3だが、生活サービスを重視することで6対4にしたいと考えている。
充実した商業施設が駅に直結しているのは日本特有。現在、諸外国への出店(シンガポールにルミネ、台湾にアトレ)、コンサルにも乗り出している。
また、Suica(スイカ)をより広範に使えるようにすることを考えている。スイカの発行枚数は7100万を誇り、決済が非常に簡便だ。しかし首都圏用に1秒間に何人もの人が改札を通れるスピードを重視した結果、現行のシステムには非常にコストがかかっている。そこで、機能をスリム化してコストを削減し、地方への普及や海外への進出を進めたい。
――人手不足の時代だが、対策は打っているか。
【深澤】店舗や車両メンテナンスといった現場の部署はやはり人出不足が深刻。解決策として無人店舗の実証実験も行い、機械化を進めているところだ。
また、山手線の新型車両ではビッグデータを分析することでメンテナンスの最適化を図っている。将来的には運転士の乗務が不要のスマートトレイン導入も視野に入れている。無人運転は27年を目処に実現させたいが、技術開発、国の規制、2つの問題を解決する必要がある。非常事態対策として、乗務員は乗せるつもりだ。