直属上司は“父兄”本人と上司、
研修担当者で“三者面談”を実施

部下に“技術でメシを食う”という意識が芽生えた<br>
<strong>和歌山工場地区サービスセンター 安全●中尾 宏さん</strong><br>
1956年生まれ。栗垣さんをテクノスクールに派遣した上司。栗垣さんについて、「最近シャキッとしてきました」。
部下に“技術でメシを食う”という意識が芽生えた和歌山工場地区サービスセンター 安全●中尾 宏さん 1956年生まれ。栗垣さんをテクノスクールに派遣した上司。栗垣さんについて、「最近シャキッとしてきました」。

それでも研修生にとって最初はとまどいがあった。栗垣さんも「座禅も初めはしんどかった。こっちは早く技術を教えてもらいたいのに、どうしてこんなことをするのかと思った」という。

だが、続けるうちに「座禅の時間が長く感じないようになるというか、座禅をやるとその日がゆったりした気持ちになる。また、全員でやることでチームワークも芽生えてきます。合宿も含めて、今から考えると一番うまいやり方だなと思いますね」

入校から2カ月後の7月には「中間父兄会」と呼ぶ三者面談も開催される。研修生の直属上司が国内外の工場から馳せ参じ、本人と上司、研修担当者の三者で学習の進捗状況と目標の再確認を行う。

「研修前に、上司からの希望に沿って個人育成計画シートを作成します。7月の面談ではこれまで達成した点や足りない部分を確認するなど本人や上司の希望を踏まえて計画の修正もやります。上司が来ることで不安な気持ちを和らげたり、逆に期待しているからと発破をかけるなど意欲喚起にもつながります」(三田教育グループ部長)

なかには面談前日の夜に上司と酒を酌み交わしながら“二者面談”するケースもあるという。近況報告や職場の同僚の話なども出るであろう。自分の抜けた職場のことが当然気になる。それに対して上司が「心配するな、おまえは自分の勉強だけを考えろ」と励ますのだろうか。こうした濃密な上司と部下の一体感も研修の隠された効果といえなくもない。