重要度は人それぞれ、上司の価値観を知る

ハイブリッドコンサルティング代表の吉山勇樹氏は「段取り上手の人は優先順位の付け方が上手い」と言い、「緊急度」と「重要度」の2軸で仕事を分類する。吉山氏は優先順位を付けるときに、さらにそこから一歩踏み込む。

「私が以前、経営企画部で仕事をしていたとき、上司は法務畑出身で、コンプライアンスや機密保持など法令や契約に関する内容を重視するタイプでした。だから上司に新規取引の話をするときは、先回りして『もう機密保持契約は結んでいます』と報告していました。社内の仕事か、社外の仕事かという軸もあります」

仕事の重要度は人間関係や状況によって基準が変わってしまい、個々人の主観により差が出る場合があるので、上司や周囲との共通認識が構築できるように気を配りたい。

懐に飛び込むための最初の一手の見つけ方

もう1つ、吉山氏が段取り上手になるために重要だと強調するのは「ゴール」の明確化だ。仕事をはじめる前にその目的や目標、期限といったゴールを必ず設定するのだ。

「PDCAサイクルではなく、最初にゴールを定めるGPDCAサイクルで仕事を考えることを提唱しています」

ゴールがはっきりしないまま見切り発車状態で仕事に取り掛かると、ムダな時間や労力を費やし、本当にやるべきことにリソースを割けなくなる。また、ゴール設定においても独りよがりでは上手くいかない。

「仕事に関わる人たちの間でゴールに対する共通認識を持つことが大切です。それがなければ次第に各人のゴールイメージにズレが出てきます。システム開発の最終段階でクライアントの要望と大きく違って後の祭りということはしばしば起こります」

そうして最終ゴールまでしっかりとたどり着くためには、ゴールに至るまでのプロセスを区切って、それぞれの段階でどう行動するかにまで落とし込む必要がある。