あらためて自分の強みと言われても自分で見つけるのは難しい。「だからこそ他流試合を」と永井さんは言う。他流試合の1つが勉強会への出席だ。
「興味を持った会にとりあえず出席してみる。何か役立つ知識を得るのもいいですが、お勧めは面白そうなテーマを見つけること。で、セミナーや講義には質問時間がありますが、そこで積極的に発言する。日本人は間違っていたら恥ずかしいと発言しません。しかし、的外れなことを発言して、それは違うと指摘されても、それは学びを得て確実にレベルアップしたということ。恥ずかしがらず『わかりました、ありがとうございます』でいいのです」
「会社のような濃密な人間関係よりも勉強会のような弱いつながりのほうが自分の強みが発見されることは多い」と永井さんは言う。自分はどう見られているのか。これを知るにはブログなどで、自分の考えをまとめ、発信するのも有効だ。
「第三者に伝わる文章を書く能力は、ビジネスマンのコミュニケーション能力の基礎です。どうすれば伝わるのかを考えるのはいいトレーニングですし、周りの人が自分をどう見ているのかを知ることは、自分の強みを見つけるヒントになるはずです」
アレンジする力、コミュニケーション能力、共感力、責任感など、人によりいろいろな強みはある。その強みを伸ばすことに努めてみよう。
さらに「バリュープロポジションの考え方はチームにも当てはまる」と永井さん。
「メンバーにはそれぞれの強みがある。各自の強みを把握しチーム全体のパフォーマンスを上げるのが管理職の仕事です。部下に苦手なことをさせても、あまり成果は上がらず、細かい指導も必要になりますが、部下が強みを持つやりたいことなら、任せていても大きな成果が出るようになるもの。すると部下の商品力も上がり、チームの商品力も、あなたの商品力も、すべてがアップするのです」
1.バリュープロポジションの発見
2.他流試合に挑む
3.チームの能力アップを図る
マーケティング戦略アドバイザー
1984年慶應大学卒業後、日本IBM入社。2013年独立。著書に『100円のコーラを1000円で売る方法』。