小泉氏がつくポストとしては、あまりに地味
中途半端な対応だった小泉氏は、どう遇されるか。人事権者である安倍氏は、石破氏側についたことに怒り、徹底的に干すか。それとも、あえて石破氏についた小泉氏を厚遇して大人の対応を見せるか。人気者の小泉氏を閣内に入れれば超目玉人事としてイメージアップにもつながる。安倍氏も随分悩んだことだろう。
結論は「厚労部会長」だった。厚労部会長は、自民党の社会労働族議員を束ね、厚労省と連携、調整する重要ポスト。政府が政策をつくる時も、部会長の理解は必須だ。
安倍政権は今、政策の柱として「全世代型社会保障」を掲げている。「こども保険」を提唱している小泉氏を部会長に起用して「全世代型」の注目度を高めようという思惑が安倍氏にあったことは、容易に推察できる。
ただ、小泉氏がつくポストとしては、あまりに地味だ。党部会長ポストは衆院議員なら当選4、5回がつくことが多い。小泉氏は4回生なので適齢期ともいえるが、常に注目を集めてきた小泉氏のポストとしては寂しい。
今回の人事では当選3回の山下貴司氏が法相に抜てきされたことを考えると、小泉氏は、厚労相に起用されても不思議はなかった。
安倍、石破の両氏の顔を立てるのに気を使った
実は厚労部会長ポストは小泉氏が自ら希望していた。複数の自民党幹部が、小泉氏から希望を伝えられたことを認めている。猟官運動のイメージとは程遠い小泉氏が、なぜ、部会長を希望したのか。
総裁選で安倍、石破の両氏の顔を立てるのに気を使った小泉氏だが、その後の人事でも相当気を使ったようだ。
総裁選で石破氏を推した立場からすると、筋を通してあらゆるポストを辞退する道もあった。そうすると「石破派」の色が強くなり、安倍氏との関係が決定的になってしまう。
一方、安倍氏から閣僚や党首脳のような主要ポストを打診してきたらどうするか。小泉氏を大臣に起用したら、内閣の目玉ができる。「石破陣営からの起用」「若手の登用」というメッセージにもなる。安倍氏ならずとも考えつきそうだ。