さらに事件や災害が起きると時々刻々と変わる現地の様子がツイートされるので、どのメディアよりも情報が早く、生々しい。ハッシュタグがついていれば、あとで検索するのも楽である。私の場合は海外取材が99%なので、事件、事故の取材のときは必ずツイートをハッシュタグ検索することにしている。
著名人が興味深い記事を発表したり、本を出版すると必ずツイートする。どのメディアよりもいち早く情報を流すので自分が関心を持っている人をフォローしていると情報に遅れない。知名度が高い人ほどそういう情報をすぐにツイートする。また、拡散したいと思っている記事や論文を見つけるのもツイッターが一番早い。URLがつけられている場合もあれば、記事を添付している場合もある。
個人のツイートのほかにも自分が関心を持っているメディアのツイートをフォローするのもいい。イギリスのBBCニュースなどをフォローすると欧米の政治状況がわかる。私はFinancial TimesやWall Street Journal、NewYorkTimesもフォローしているが、個人的に関心がある記者もフォローしている。ツイッターは短いが、背景になる情報や知識が深いので、これほど効率がいいものはないだろう。
英語表現・語彙の勉強にも最適
さて、ツイッターは情報源として最も新鮮であることはいうまでもないが、文字数に制限があるためにそこで使われる英語表現が日本人にとっては格好の学習材料になるのだ。日本人が苦手なイディオムも頻繁に出てくる。それは文字数が限られているからイディオムを使うことで文が引き締まる効果をねらっている。ここに例を挙げたin the face of(~に直面して)のほか、be on track(順調である)back of the envelope(おおざっぱな)などもよく使われるイディオムだ。少し意識するだけで生きた表現が身につく。
英語は他の言語と比べて圧倒的に語彙が多い。語彙レベルでその人の教養レベルがバレるが、ツイッターで知識人のネーティブが使う語彙は勉強になる。それは言いたいことを端的に表す単語を使うからだ。また最新ニュースで頻繁に使われている単語もツイッターに出てくるので、これほど効率がいい学習法はほかにないのではないか。ここに挙げたtariff(関税)のほか、security clearance(機密情報へアクセスする権限)は最近のニュースではよく出てくる単語である。
また、pun on words(言葉をもじったり、言葉遊び)も見られる。クルーグマンがトランプの関税策を批判するときに、ジョージ・ブッシュ元大統領が鉄鋼にかけた関税の過去を思い出すとして、blast from the past(過去を思い出させるもの、懐かしいこと)というイディオムを使っているが、blastの後ろに()をつけてblast(furnace)としたのも見事である。blast furnaceは「溶鉱炉」の意味だが、鉄鋼にかけていることは明らかである。
世界情勢を含めて最新情報を入手するのと同時に英語表現や語彙の学習にもなり、一石二鳥だ。