一方、日本人の有給休暇消化数が低い原因は米国とは異なるようだ。

有給休暇の取得に罪悪感を持つ人は米国では3割超、フランスでは2割超と少数派だが、日本では6割近くと過半数を超えている(図4)。日本では自分の仕事が終わっていても、同僚が終わっていなければ自分だけ休むのは反感を買ってしまわないかと、気にしてしまうのも一因だろう。

千葉商科大学の常見陽平氏は、日本人が上司や同僚の目を気にしてしまう背景について、「人に仕事をつける」のが日本型、「仕事に人をつける」のが欧米型だと説明する。

「『仕事に人をつける』モデルでは業務内容や責任を明確にできますが、『人に仕事をつける』モデルでは、ある人に複数の業務が紐づけられ、仕事の終わりが見えなくなります」

欧米では、契約によって自分の仕事が明示されるため、自分の担当の仕事以外はやらない傾向にある。なかでもヨーロッパでは残業規制や有休取得が法律で保障されているうえに、仕事に対する使命感が比較的薄いため、気兼ねなく有休を取る。米国については、自分の仕事に集中して取り組むが、それが終わればパフォーマンスに影響が出ない範囲で有休を取得するというメリハリがついたスタイルだといえるだろう。もちろん、日本の「人に仕事をつける」モデルにも、人員の増減や環境の変化にも柔軟に対応できるという長所がある。日本とヨーロッパ、米国とのあいだのどこかに日本が目指すべき休み方があるのかもしれない。

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