国民に忘れられないように、党内で嫌われすぎないように
安倍氏の求心力の根源は「選挙に強い」ことだった。実際、首相に返り咲いた12年末以降、衆院選、参院選で勝利を重ね、安定政権を築いた。負ければ、一気に失速する。「参院選の敗北」は、改憲勢力が参院で3分の2を割り込むことを意味しており、憲法改正が遠のく。悲願の実現が絶望的となったら、政権はもろい。
そうなった時「ポスト安倍」候補の1番手は、間違いなく石破氏になる。それは参院選後の1年後に、くるかもしれない。
石破氏は「惨敗」したことによってポスト安倍のポジションを得つつある。そう考えると冒頭紹介した22日の「いつ何があってもいいようにしておく」という発言が重みを増す。
ただ反主流派が存在感を示し続けるのは難しい。ポストに恵まれないだけに騒がないと目立たない。逆に、何でも政権批判ばかりしていると、党内から、うとんじられてしまう。
国民に忘れられないように、そして党内で嫌われすぎないように。石破氏が反主流派のリーダーを演じるのは簡単な仕事ではないのも事実だ。
(写真=時事通信フォト)