3 脳に良い生活習慣とは

食後15分以内に歩く(牧田医師)

ランチタイムの残り時間には、午後の眠気対策で昼寝をしておこうという人もいるのではないか。でもうまく眠れないかもしれない。食べて15分以内に血糖値が上がり始め、ちょうど元気が出ているときだからだ。

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そこで、このタイミングで歩いたり、軽い運動をしてみてはどうだろう。

「筋肉がとり込んだ血糖をすぐにエネルギーとして使うので、血糖値が上がりすぎず、午後の眠気やだるさを防ぐことが期待できます」

外食後の帰り道を有効活用しよう。

「約20分で2000歩ぐらい歩くのが目安。散歩中の人を追い越すぐらいの速さで歩くと、距離にして1.5キロぐらいになります。室内でウオーキングマシンを使ったり、ビルの階段を上るのでもいいでしょう」

食後すぐに始め、20分は続けよう。週2回の筋トレもおすすめだ。

「筋肉は、グリコーゲンとして血糖をためる貯蔵庫です。筋肉をつけておくと、運動時にグリコーゲンを燃やすことで血糖値を上げずに調節してくれる。よぶんな糖質がなくなるので、老化促進物質のAGEがつくられるのも抑えます」

「吐く」から始まる深呼吸(熊谷医師)

緊迫した場面におかれたとき、気づくと息苦しくなっていることがある。落ち着いた思考ができそうもない。

「そういうときは、まず、『はーーっ』と吐くことを意識してください」

リラックスのための深呼吸は、まず吐くことだ。長く吐いて、肺の中の空気を吐ききれば、吸おうとしなくても空気が自然に入ってくるという。なぜ、深呼吸はリラックスをもたらすのか。

「怒りなどで緊張したとき、強く働いているのは大脳基底核の『淡蒼球(たんそうきゅう)』という神経回路です。ここは常に戦闘態勢で、怒りとか恐怖に対して攻撃をしかけている領域。それを抑える役割をするのが理性をつかさどる『大脳前頭前野』です」

深呼吸で、新鮮な酸素を脳に送り込み、前頭前野を活性化するのだ。

「前頭前野が活性化すると、淡蒼球の活動が鎮まります。すると気持ちが落ち着いて『まあ、いいか』と思えるようになる。こうして脳をストレスから解放してあげると、脳の疲れがとれ、脳細胞を炎症から守ります」