「女性はもっと羽ばたける」改革のキーパーソンの登場

「会社の海外展開への機運、集まった委員の熱い思いにプラスして、強い思いを持ってチームを動かせたのは彼女がいたから」と社内の人間が口をそろえて挙げる名前が、執行役員のズナイデン房子さんだ。「アクセルとエンジンを両方持っているような人」と評されるパワーあふれる彼女は、ダイバーシティ先進企業の大手化粧品メーカーで活動した中心人物の1人だった。14年に国内マーケティング部の部長として転職してきた。

(左)日清食品 マーケティング部 ブランドマネジャー 佐藤真有美さん(右)日清食品ホールディングス 執行役員、グループマーケティング責任者 ズナイデン房子さん

「社内で女性たちが仕事をする姿を見て、もっと羽ばたけると思ったんです。管理職候補の女性たち50人以上、一人ひとりと面談をして話を聞いたときも、すごく能力を持っているし、ポテンシャルも高くて驚きました。彼女たちの多彩な才能や持っている力と、中長期的にどういうキャリアに進みたいのか、何を目標にしているのかをよく理解して、個人の育成プランを考えました」

ダイバーシティはトップの前のめり度によって動きに差があるというのは、これまでの経験で感じていた。

「社長をはじめ、関連会社や研究所などのトップの方もどんどん巻き込んでいくことによって、周囲も『あの人も旗振り役になってるなら』とその輪が浸透していきましたね。一人ひとりお願いをして回りましたが、役員クラスは私が担当しても、課長や部長クラスや地方のメンバーには信頼が厚い委員会の中にいるそれぞれの部署のメンバーが動いてくれたから声が届いたと思います」

週に1度、4時帰り。食に関する時間に充てる

3児の父である渡辺英樹さんは、日清食品の営業戦略部次長。共働きの妻とともに子育てと仕事の両立の大変さも味わってきた。

「営業はやはりどうしてもお客さまのペースに合わせる必要があるので、定時があっても得意先が営業していればそれに合わせます。残業も社内では多いほうだったと思います。もっと個々の能力を発揮するために営業こそフレキシブルな勤務体系が必要と考え、その条件づくりをしたいと思いました。営業が働きやすい環境づくりも担当し始め、在宅勤務制度やスーパーフレックスも17年から導入しました」

ダイバーシティ委員会にも加わり、企業を横断して営業職女性の働き方を考え、提案していく異業種合同プロジェクト「新世代エイジョカレッジ」への参加が、社内の営業職女性たちへのいい学びと刺激になると積極的に支援してきた。