単純に安倍氏の指示で文書ができたとは言えない

文書を受けて新聞各社の対応はどうか。目立つのが毎日新聞。8月30日付朝刊で「介入の前に公平な選挙を」というタイトルの社説を掲載。全編怒りが感じられる社説で、直ちに要請を撤回するよう求めている。長野県の有力紙・信濃毎日新聞も31日付で同趣旨の社説を掲載している。

今回の文書作成にあたり、安倍氏の意向がどこまで反映されていたのかは分からない。「14年文書」は安倍氏の側近である萩生田光一筆頭副幹事長らの名で出たが、今回文書提出者でもある野田選管委員長は、安倍氏に近い人物ではない。消費税増税の先送り方針を巡り安倍氏に異論を唱え、冷や飯を食わされている長老議員だ。単純に安倍氏の指示で文書ができたとは言えない。

また党内には、敗色濃厚の石破氏を3選有力の安倍氏と対等に扱うように要請することで度量の広さを見せたという好意的な見方もある。

「不公正」から「公正」を求められても……

仮に、今回の文書は安倍氏の指示でつくられたものではなかったとしよう。それでも今回の出来事は、政権復帰後6年に近づく安倍政権下では、報道機関への介入するのが当然のことになっていることを示しているともいえる。

石破氏は今回の総裁選でのキャッチフレーズを「正直、公正」としている。これは安倍氏が「不正直、不公正」であるとあげつらったとの見方があり、安倍陣営は、不快感を表明している。しかし、少なくとも「不正直、不公正」とみられている安倍自民党から「公平・公正」な報道を求められる筋合いはないのである。