また、「イケメン」という言葉も男性のみに出現していました。このワード、むしろ女性が書きそうですが、「イケメン、イケメンとうるさい女についてどう思うか」とか、「結局イケメンじゃないとモテないのか」というような内容の質問が多いようです。「ただしイケメンに限る」というバズワードがありましたが、相当、男性は自分の外見のことを気にしているということです。

実は、女性にはそういう自分の容姿についての悩みがほとんど出てきませんでした。女性にとって外見はお化粧などであまりにも日常的に気にするものになっているため、あえてQ&Aサイトに悩みを書き込まないという要因もありそうです。

全体として、女性は酔った勢いの身体の関係など、既に起こってしまった“結果”に対して悩むのに対して、男性は逃してしまったチャンスや今後モテるかといった“可能性”について悩む、という対照的な傾向が見えてきました。

男性は「情けない」、女性は「悲しい」

似た意味の言葉でも、男女によって使用に差が出るものがあります。例えば、男性は「情けない」という言葉を、女性は「悲しい」という言葉を多く使うという傾向がありました。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Martin Dimitrov)

男性の「情けない」は、例えば「男で身長が170cmないと情けないと思われないか」といった外見の話や、「女性の気持ちがわからず情けない」、「これまで恋人ができたこともないのに、いまだに美人と付き合いたいと願っている自分が情けない」というようなものもありました。

ほかにも、性体験についての悩みで「情けない」というワードが多く出現しており、プライドと現実のギャップに苦しむ姿が垣間見えます(私も身長は170cm以下なので、少しドキッとしてしまいました。)

また、「○歳男」とか、「大学生」などプロフィールにまつわるキーワードも男性に偏って出現しており、これもステータスを重んじる男性に特徴的な質問の仕方といえそうです。

一方の、女性の「悲しい」に関連する質問は、「5年付き合った彼と今日別れたけど、不思議と全然悲しくない」、「悲しい恋をしたあとに幸せな恋をした人の話が聞きたい」といったように、意外とそこまでネガティブではないものが多く含まれています。男性が「情けない」とウジウジ悩んでいるのに対して、女性は「悲しい」けれど、それは自分に問題があるということではなく、感情の問題として処理している、ということなのでしょう。

復縁の悩みは女性に多い

ちなみに、ランキング上位には入っていないものの、女性が使う「元カレ」の出現率は、男性の「元カノ」の出現率より多い、という傾向も出てきました。リアルでも占い師に寄せられる女性からの恋愛相談では「復縁」が非常に多いそうです。

「男は過去の恋をフォルダに分けてしまっておくけれど、女は恋を上書きしていく」と言われていますが、上書きされない限りは直前の恋は残ったままで、その分、復縁を考えがちというのも女性の特徴なのかもしれません。

20代の分析だけでも、男女の恋愛観の違いがいろいろと見えてきました。次回はより上の世代、リアルではなかなか聞くことのない40代男女の恋の悩みを見ていきます。

酒井 崇匡(さかい・たかまさ)
博報堂 生活総合研究所 上席研究員
2005年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、教育、通信、外食、自動車、エンターテインメントなど諸分野でのブランディング、商品開発、コミュニケーションプラニングに従事。2012年より博報堂生活総合研究所に所属し、日本およびアジア圏における生活者のライフスタイル、価値観変化の研究に従事。専門分野はバイタルデータや遺伝情報など生体情報の可視化が生活者に与える変化の研究。著書に『自分のデータは自分で使う マイビッグデータの衝撃』(星海社新書)がある。
(写真=iStock.com)
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