事前に管理責任者と周知責任者の「トップ会議」が必要なわけ

そして少しでも強い雨や地震が起きれば、災害対策本部を開け! という声が上がるが、必要もない時に災害対策本部を開いても意味がない。それは、やってますアピールの単なるパフォーマンスに過ぎない。

ところが実際は、意味のない災害対策本部が開かれることが多い反面、本当に必要なときに災害対策本部が開かれないことも多い。今回の緊急放流、大規模放流の決定時点がそうだ。どれも災害対策本部が開かれていない。

役所をはじめとする大きな組織のトップが臨むトップ会議は、「そこでやらなくてもいいことをやる会議」になってしまったら大失敗。トップ会議はトップ会議でしかできないことをやるべきだ。トップ会議を開くのは、トップ会議より下の段階では判断できないときや、権限と責任が分散していて、それを一つにまとめる必要があるときなどに限られる。

(略)

いずれにせよ、緊急放流・大規模放流の権限・責任者と、住民周知の責任者が直接顔を合わせ、緊急放流・大規模放流の意思決定を行う。ここで住民周知を行う際の課題があればその議論がなされるだろう。このような災害対策本部をきっちりと開催することで、住民周知が市町村を通じて徹底されることになる。

組織が一丸となって機能的に動くためには、トップ会議による組織マネジメントが重要だ。トップ会議においてトップが、人命救助を第一に! なんて当たり前のことを言っているだけでは、その会議は全く意味がない。

(ここまでリード文を除き約3100字、メールマガジン全文は約9900字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.117(8月28日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【災害多発時代の危機管理〈3〉】「人命第一」だけではダメ! 災害対策本部が機能する条件》特集です!

(写真=iStock.com)
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