名乗りあげた旧村上ファンド系含む「アクティビスト」
しかし、債務超過や、17年3月期の連結財務諸表に「継続企業の前提に関する注記」が付き、東芝自体の継続性に対する疑義が差し込まれたことで、公募増資は無理。残されたのは第三者割当増資で、割当先に名乗りをあげたのが旧村上ファンド系をはじめとする「アクティビスト(物いう株主)」たちだった。
彼らに需要見込み調査をすることで、東芝は「ブックビルディングに類似した公正性の高いプロセスを経て適切なディスカウント率(=発行価格)の決定を行った」とする。そして決まった発行価格が262.8円で、その妥当性が気になる。
「当然、引受先は企業価値の詳細な分析を行う。その手法の1つがEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)を使うもの。試算すると増資前で1株当たり594.4円の価値があり、安い買い物だったのでは」と金融に詳しい経営コンサルタントの小宮一慶さんは話す。
その後、WHの資産譲渡などで債務超過解消、上場廃止の回避をほぼ手中にする。しかし、アクティビストたちが経営に横ヤリを入れてくることも考えられ、前途は多難なようだ。
(撮影=加々美義人 写真=時事通信フォト)