日本経済はこれからどうなるのか。そして、その先行きは私たちの家計にどんな影響を与えるのか。2人の有識者が4つのテーマについて徹底解説する。第4回は「教育」について――。
▼オール公立でも600万円超。奨学金は親子で返す
一部奨学金もあり、大学卒業までの教育費は628万~1127万円
学費の値上がりや非正規雇用の広がりを背景に、奨学金の返済に苦しむ若者が増えている。なかには返済できず、自己破産するケースもあるという。
「経済格差が拡大していく中でやはり、重要なのは子どもの教育です。とくに幼児期の教育は重要で、ある研究によれば幼児期の教育費は、将来7倍になって返ってくると言われています」(大和総研の熊谷亮丸氏)
だが、一方で教育費をかけすぎると、親の老後資金が枯渇しかねないという問題もある。
「一般的なサラリーマン世帯で2人以上の子どもに多額の教育費をつぎ込んだら、親の老後資金は足りなくなります。中学・高校・大学と私立に行かせると直接的な学費だけで約1000万円。そもそも、大学に進学するメリットを享受するのは親ではなく子ども。そう考えると、教育費を親がすべて負担するのではなく、奨学金を借りて親子で協力して返済していくのは合理的な選択肢のひとつです」(熊谷氏)