来年は4月に統一地方選、7月に参院選がある「亥年」

永田町関係者の間では「亥(い)年政局」という言葉がある。亥年は、12年に1度、統一地方選、参院選の両方が行われ、政局が激動することが多いのだ。統一地方選が4年に1回。参院選が3年に1回なので両方行われるのは12年に1回となるのだが、来年2019年が亥年にあたり、4月に統一地方選、7月に参院選があると予想される。そして今年の総裁選は、その前年、つまり戌年に行われる。

当然ながら総裁選は来年の2つの選挙をにらみながら行われる。古手の衆院議員は「国会議員も地方議員も、一番大切なのは自分の当選。選挙が近づいてくれば、その傾向はどんどん強くなる」と明かす。「戌年総裁選」では地方議員と参院議員の心を捕らえた方が優位に立つ。

安倍氏は、そんな議員心理を利用して、小まめに地方議員と懇談し、握手し、ツーショットの写真に収まる。現職首相との写真は、ポスターに使うもよし、ホームページに貼り付けるもよし。保守系議員にとって中央との太いパイプが大きな売り物となるが、ツーショット写真は、それを強調するには最大の武器。これ以上ない、お宝となる。

会合では、意見交換もほどほどに、先を争うように安倍氏と写真に収まろうとする地方議員の姿がみられるという。ツーショットを撮った議員の多くは、程度の差こそあれ、総裁選では安倍氏を応援するだろうし、来年、自分の選挙が終わるまでは安倍人気が続くことを期待する。持ちつ持たれつの関係をつくることができる。

スキャンダルが出れば、求心力は遠心力に変わる

12年前の「戌年」も総裁選があった。その年、勝ったのは他ならぬ安倍氏。麻生太郎、谷垣禎一の両氏を相手に、圧勝した。この時も翌年の統一地方選、参院選をにらみながら、地方議員と参院議員に十分配慮しての選挙だった。自分の選挙を目前に控えた政治家は、よく働く。その時の「成功体験」が今回の総裁選でも生かされているといっていい。

「戌年総裁選」は、今のところ安倍氏にとってうまく進んでいる。ただし、もろ刃の剣であることも忘れてはいけない。

参院議員、地方議員が安倍氏になびくのは、あくまで来年の選挙で有利になると考えているからだ。逆に、安倍氏が失速し、国民の支持を失うことになれば、遠ざかっていく。自分の選挙が遠ければ、義理立てして逆風の中でも応援することもあるかもしれないが、選挙が近ければ背に腹は代えられない。安倍氏に挑戦する石破茂元党幹事長のほうに人気があると見切れば、流れは急変する。