麻生財務相の続投はなさそう
内閣の方に目を向けてみよう。麻生太郎氏は副総理、菅義偉氏は官房長官にとどまるだろう。ただし麻生氏は兼務していた財務相からは離れるのではないか。
麻生氏は「森友」問題での文書改ざん、財務次官のセクハラ問題など省内で不祥事が相次いだにも関わらず辞任せず、批判を一身に受けた。麻生氏も77歳になった。世界を飛び回るのは、つらい。
後継の財務相候補は誰か。ここでも岸田氏の名が上がる。外相、党政調会長を経験した岸田氏は財務相になれば、経歴だけみれば「首相への準備完了」となる。しかし岸田氏は今、このポストにはつきたくないはずだ。不祥事続きで批判にさらされる財務省を立て直すのが容易ではないことは言うまでもない。それに加え、次の財務相は消費税を巡り難しい対応を迫られる。消費税は来年10月に8%から10%に上がることになっている。
「次の財務相」は消費増税の戦犯にされる
ただし、その最終判断をするのは安倍氏だ。予定通り上げる方向で準備をしておいて、来年の参院選を前に上げるのを凍結する、と宣言する可能性は今も残る。
その際、国民や財務省内の混乱を回避する極めて難しい仕事は財務相にのしかかる。予定通り10%になれば「消費税を上げた財務相」として批判にさらされ、凍結されれば後始末に追われる。どちらに転んでも損な役回りとなる。
石破氏はもちろん、総裁選出馬に意欲を見せ続ける野田聖子総務相も、党や内閣の枢要ポストからは外される。ただし安倍氏は、挙党態勢という形だけは取り繕おうとするだろうから、自分以外を推した議員の中から、何人かは閣僚ポストにつけるだろう。石破氏、野田氏を推す議員たちは、この「枠」にいちるの望みをかけることになる。