これまでの人生で適切なフィードバックを受けなかった

タイムリーというのもとても大事です。子供も大人も、半年前のことを叱られても、本人はその出来事を忘れているに違いありません。皆さんは、適切なフィードバックを、タイムリーに受けてきたでしょうか? またタイムリーにフィードバックをしてきたでしょうか?

※筆者が自著を元に、『プレジデントFamily2018夏号』内の夏休み誌上講座として、小学生に読んでほしい名著10冊を紹介。わが子を人の気持ちのわかるリーダーにするための読み方のヒント満載の6ページだ。

私は人事コンサルタントとしてたくさんの企業のマネジャーを指導してきましたが、このフィードバックを苦手とする人が多いように感じます。もしかすると、自分自身が適切なフィードバックをタイムリーに受けてこなかったのかもしれません。おそらく身近に理想のモデルとなる人がいないのでしょう。

そういうマネジャーには、カンバセーション(部下との会話)の型から学んでいただきます。タスク、スキル、成長といろいろな種類のフィードバックが必要です。なにを、どのように、どの程度、部下に伝えればよいのかがわかってくるとスムーズなフィードバックをタイムリーに行うことができるようになります。

また地位が上になると、自分を叱ってくれる人がだんだん少なくなるものです。そこで、少しでも「情」のわかる存在になろうとしたとき、役立つのは読書です。仕事とは一線を画した「物語」で人の気持ちを深く考え、人間関係の疑似体験をしてはいかがでしょうか。

(3)職場や家庭のエンゲージメントをもっと高めよう!

「エンゲージメント」が高い職場では、売上、生産性、収益性、定着率が高く、欠陥品発生や事故率が低いといわれています。

「エンゲージメント」は、「満足」とは異なります。

英英辞典で、「satisfy」と「engage」を比べると、「satisfy」は先に自分のwantsや needsがあり、それらが満たされたときに感じるものであるのに対して、「engage」は対象(社員や家族など)との感情的なつながり、involve(関与、巻き込む)や connect(接続・結合)したときの満たされた感じと理解すればよいでしょう。

会社組織のマネジャーの立場で言えば、部下とのエンゲージメントは極めて重要になります。

人には元来、「私の言うことを聞いて」「私のことを知って」「私のした成果を認めて」「私を成長させて」といった根源的な欲求があります。さらに、ひとりひとりにとってこれだけは譲れないというエンゲージの「ツボ」も異なるのです。マネジャーの重要な役割は、部下ひとりひとりの「ツボ」を正しく把握し、応えることでしょう。