地方自治体の公務員は、どのくらいの給与をもらっているのか。プレジデントオンラインでは、昨年に引き続き、国の調査をもとに「地方公務員年収ランキング」を作成した。第1回の「市区町村別トップ500」(http://president.jp/articles/-/25531)に続き、第2回は「ワースト500」をお届けする――。(第2回、全3回)
沖縄県宮古郡多良間村全景。手前が多良間島、奥の小さい島が水納島。(©Yamada udon/ウィキペディアより)

ワースト1位は2年連続で青ヶ島村

プレジデントオンラインでは、今回、総務省が発表した2017年(平成29年)の「地方公務員給与実態調査」に基づいて、自治体ごとの平均年収を推計した。対象は「一般行政職」で、諸手当(寒冷地手当を除く)を含む平均給与月額に、期末手当と勤勉手当を加えて算出した。なお、一般行政職とは、教育職や警官といった専門職ではない、いわゆる役所で勤務する公務員を指す言葉だ。

第2回は、全国市区町村(1721自治体。全国20の政令指定都市は対象外)の「ワースト500」をお届けする。ワースト上位には村や島が目立つ。この傾向は、毎年変わらない。

1位の東京都青ヶ島村は、伊豆諸島南部にある小さな島だ。東京から358キロの距離にあり、面積は5.98平方キロメートル。村のホームページにアクセスすると「日本一人口の少ない村です」と書かれた画像が表示される。村の人口はわずか160人だ。島全体が二重カルデラになっており、映画『君の名は。』で描かれた“聖地”によく似ている。

青ヶ島村は、前回もワースト1位だった。だが、平均年収は約41万円も増えている。前回は357.5万円だったが、今回は398.6万円とだった。なお、平均年齢も41.5歳から43.8歳と上昇した。なぜ1年で大幅に増額したのか。青ヶ島村役場はこの理由を、「職員の平均年齢は高いが、人員の入れ替わりが多く中途採用なども多いため、勤続年数の短い職員が多いことと、管理職が1名のみであることによると考えられる。今回全体に増額した理由は、時間外勤務の増加と、昇任者数の増加(係長、主任)による」(青ヶ島村役場人事課)と説明している。

期末手当が90万円落ちたワースト2位

2位の沖縄県多良間村は、宮古島と石垣島の中間に位置する沖縄県宮古郡の村だ。多良間島と水納島の2つの島からなり、総面積は約22平方キロメートル、人口は1175人(2018年5月31日現在)。主な産業は農業と観光業で、毎年9月(旧暦の8月)、3日間にわたって行われる伝統行事「八月踊り」は国の重要無形文化財に指定されている。

多良間村の前回順位は19位。477.9万円から416.1万円と、平均年収が約62万円も減少したため、ワースト2位となった。大きな変化があったのは、期末手当だ。前回は130万8500円だったが、今回は40万4900円と、1年で3分の1程度まで減っている。なぜ期末手当がこれほど落ち込んだのか。多良間村役場に理由を尋ねたが、期日までに回答はなかった。

地方公務員の給与は、業務内容の複雑さや責任の度合いに応じた職務の「級」と、それをさらに経験年数で細分化した「号級」の組み合わせで決定される。級の上昇が昇格、号級の上昇が昇給にあたるが、勤続年数が短い人が多ければ、どちらも低くとどまり、平均年収は上がらない。 

なお、ランキングの右端には「ラスパイレス指数」を記した。これは国家公務員を100とした場合の、各自治体の給与水準を示すものだ。2012年以前は全国市区町村の平均値が100を上回り、地方が国より高い状態が続いていたが、東日本大震災の復興財源を目的に国からの給与削減要請があったことから、年々低下。2017年は16年より0.5ポイント高い98.6ポイントとなった。