「朝鮮半島の非核化」に向けて合意した米朝首脳会談から3週間もたたないうちに、またぞろ北朝鮮の核開発続行疑惑が浮上した。そのかたわらで韓国の文在寅政権は、アメリカ軍から韓国軍への「『戦時作戦統制権』の移管」を進めている。在韓米軍の縮小・撤退につながりかねない動きを、なぜこのタイミングで進めるのか。背景には、韓国現代史に刻まれた深い屈辱の記憶があった――。
非核化交渉の「裏切りの歴史」
米朝首脳会談から3週間もたたない6月30日、アメリカのNBC放送は、複数の米政府関係者の話として、北朝鮮が複数の秘密施設で核を増産している模様だと報じました。「彼らが手持ちの核兵器を削減したり、その生産を停止したりした証拠はない。一方で、彼らがアメリカを欺こうと試みている非常に明白な証拠がある」と、情報当局の最新の報告書を見た政府関係者は述べたとのことです。(*注1)
北朝鮮の非核化交渉は「裏切りの歴史」の繰り返しです。1991年12月、当時の金日成(キム・イルソン)主席と盧泰愚(ノ・テウ)大統領の間で「朝鮮半島非核化宣言」が合意されましたが、その翌年には国際原子力機関(IAEA)の査察で核開発疑惑が発覚します。1994年の米朝枠組み合意、2005年9月の6カ国協議での「共同声明」のいずれも、北朝鮮の核開発を止めることはできませんでした。
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