私が日本の“社畜”に伝えたいこと

ライフデザインは、もともとスタンフォード大学の生徒のためにつくった人生設計のプログラムですが、20~30代の社会人にも大変高い評価をいただきました。ぜひ、日本の「社畜」にも読んでもらいたいと思っています。

それにしても社畜とはヒドイ言葉ですね。なにやら会社と家畜を組み合わせた造語だそうで……。そもそも日本人は働きすぎです。アップル時代、日本の取引先は平日の夜遅くまで働いたあと飲みにいき、また会社に戻っていました。そして翌日の会議は眠そうでした。明らかに作業効率が悪くなっており、結果、土曜日も働いていました。

そういった働き方は日本社会がカイゼンするべきところですが、たしかに一国民、一社員には、どうにもコントロールできないかもしれません。それでも、どんな些細なことでもいいから、自分で「選択」することが大切です。

何か自分で選択できることがあれば、あなたは会社の家畜ではなくなり、人間となります。「今日の残業は明日やる」。それだけでも社会は変わります。こういった小さい主張の積み重ねで日本は変わっていくでしょう。本来、誰もこんな状況で働きたいわけではないはずです。誰も会社の家畜のように扱われるべきではないのです。

大切なのは、自分が自分の人生の舵をとること。仕事では上の指示に従うだけでも、仕事は人生の一部ととらえ、少しでもプライベートの部分で意味のあることをするべきなのです。

人とは何かしら、喋りたい生き物

さて、本の中では「ライフデザインインタビュー」というものに触れています。人生設計においては、自分がやりたい仕事や生活を実践している人の話を聞くことが大切です。あなたが検討している仕事や生活を実際にしている人や、あなたが疑問を持っている分野の本格的な経験や専門知識がある人に話を聞き、あなた自身がその仕事をしている様子をイメージしてみるのです。相手の仕事や人生、そこに至った経緯も聞いてみるといいです。ライフデザインインタビューでは話を聞くだけで、貴重な情報がたくさん得られるのだから利用しない手はないですよ。

インタビューで大切なのは自分の考えを相手に押し付けるのではなく、相手にとにかく話してもらうことです。最大の注意点は「就職面接」にさせてはいけないこと。そうなると相手の視点はあなたへの「評価」や「批評」になり、興味深い話は引き出しにくくなるでしょう。インタビュー中、いつの間にかあなたばかりが質問に答えていたり、自分の話をしたりしていると気づいたらいったん話はやめて、会話の流れを変えましょう。