朝日と安倍首相は交わることのない平行線だ
最後に5月31日付の朝日新聞の社説を読む。
「質問に正面から答えず、一方的に自説を述べる。論点をすり替え、時間を空費させる――。1年半ぶりにようやく開かれた党首討論は、そんな『安倍論法』のおかげで、議論の体を成さない空しい45分となった」
毎日社説と同じく、安倍首相を批判する。朝日は安倍首相が大嫌いなのだ。朝日と安倍首相は、どこまでも決して交わることがない平行線のようだ。
さらに朝日社説は「野党党首の多くが取り上げたのは、やはり森友・加計問題だった。首相は骨太な政策論議を期待すると語ったが、政治や行政に対する信頼を揺るがす問題は避けて通れない」と指摘する。
朝日社説が指摘するように、もりかけ疑惑は解明すべき大きな課題なのである。解明が中途半端なままでは、国民の信頼は得られない。そこを安倍首相に自覚してもらいたい。
公務員倫理や政治倫理の問題は消えない
党首討論の翌日の5月31日、今度は大阪地検が森友学園をめぐる一連の問題で、前財務省理財局長の佐川宣寿氏ら38人全員を不起訴処分にすると発表した。
文書の改竄や廃棄、国有地の大幅値引き売却など、そのどれもが刑事罰には当たらないという内容で、国民は釈然としないだろう。なぜなら1強の安倍政権が法務省を通じて検察に圧力をかけることもあり得る、と考えられるからだ。
財務省は「待ってました」とばかり6月4日に調査結果を公表した。安倍政権は一連の問題に区切りを付けて幕引きにしたいのだ。
不起訴とはいえ、公務員倫理や政治倫理の面で問題がないとはいえない。早くも4日、検察審査会に対して申し立てがあった。検察審査会は不起訴事件について審査し、起訴を求める議決が2度続けば強制的に起訴されることになる。
(写真=時事通信フォト)