両親の生活費は月17万減額、長男への仕送りは年240万減

筆者はFPとして次の3点を提案した。

(1)長男が暮らす賃貸マンションの契約者をご長男に変更する

長男を契約者にして住民票を移す(世帯分離)ことで、公営住宅の申し込みや生活保護の申請が可能になる→住居費の削減/最低生活費の確保

(2)家計の見直しを行う

長男の仕送りを止めたとしても、お父様の就労収入がなくなれば、大幅な赤字になる。ご長男だけでなく、家族全員で危機を乗り切る覚悟が必要→キャッシュフローの改善

(3)家族会議を開く

長男が現実を受け入れられるように話し合いの場をつくる。この生活を続けることでどんな未来が待っているのか、客観的に判断できる資料を提供し、両親の決意を示す→家計の状態を示し、少ない収入で暮らす覚悟を促す

(1)の提案は受け入れてもらえたが、(2)と(3)に関して戸惑っているようだった。そこで、将来どんな暮らしが待っているのかを理解してもらうため、現状のキャッシュフロー(CF)を明らかにすることにした。

▼家賃の仕送りは2019年度末まで、とする改善案

その結果、このままでは2020年度末には預貯金がゼロになることがわかった(図表1)。

父親の収入(手取り年収390万円)と次男の障害年金等(年80万円)を合わせても、父、母、次男の3人の基本生活費(年480万円)を賄えない。つまり長男が完全に自立し、仕送りがなくなったとしても、毎月のCFは赤字だった。退職金が入っていたので気付きにくかったのかもしれないが、極めて危険な状況である。

そこで、次の家計改善案を提案した。

<家計改善案>
1.両親+次男の生活費は月40万円を月23万円に減らす
2.家賃の仕送りは2019年度末までとする(2年間の猶予後に公営住宅への転居を目指す)
3.その他仕送り額を年280万円から年36万円(月3万円)に減らす

この改善案を見て、母親からは「長男への仕送りはまだ続けないといけないのでしょうか」と聞かれた。私は、「これ以上払いたくないというお気持ちはわかりますが、ご長男の自立のために必要であるとご理解ください」と答えた。