ハーバード大学の公衆衛生大学院は簡単に修士号が取れる

(5)海外に羽ばたくなら

近年、海外で活躍する看護師が増えているのはご存じだろうか。

看護短大や看護系大学などを経て、青年海外協力隊のようなボランティア団体に看護師として参加したり、米国などの正看護師免許を取得して海外の病院に正規就職したりするケースだ。

日本国内での就職には、今のところ大卒看護師も専門校卒も給与などの待遇に大差はないが、海外での労働ビザ取得や就職活動には大卒看護師のほうが明らかに有利である。日本赤十字看護大学、聖路加国際大学は、海外ネットワークもしっかりしているので、国際派志向にはお勧めである。2011年開設の上智大学看護学科は国際看護学コースを設けている。

聖路加国際大学には、一般社会人向けの3年次編入コースがあり、2年で看護師免許を取得することが可能である。将来的に国際機関で働きたい人は、「国際関係学部修士卒、TOEFL100点」よりも「大卒看護師+実務2年、TOEFL90点」のほうが、ポストを得やすいはずだ。

(6)大学教授を目指す

日本中で、看護短大や専門校が大学に昇格する事例も増えている。それに伴い、これら看護系大学での教官ポストが公募されている。他分野のワーキングプアの博士号取得者やポスドク雇止め問題(※)をよそに、看護系大学だけは、バブルと言われるほど大学教員の求人が多い。「5年以上の看護師実務経験と博士号があれば、誰でも大学教員になれる」と言う声さえある。

※ポスドクとは、ポスト・ドクターの略。博士課程(ドクター)修了後、大学などで正規のポストに就けず、非正規の立場で研究活動を続けざるを得ない任期付き研究員を指す。

看護大学の教授職を目指すならば国立大、とりわけ東京大学、そして千葉大学看護学部が有利である。しかしながら、東京大学の総合健康科学科に入学するには、東大理科2類に合格する必要がある。「そんなのムリ……」とあきらめるのは早い。実は、他の看護大学から、東京大学医学研究科修士課程に進学するコースもある。直接、理科2類へ進学するより簡単であり、プロフィールに「東大院卒」と記載できるようになる。

(7)ハーバード院卒も夢じゃない

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Patrickmorrisseyphoto)

ハーバード大学やコロンビア大学など世界的名門大学にも、看護学部を発展させた公衆衛生大学院(MPH:Master of Public Health)が存在する。例えば、ハーバード大学の公衆衛生大学院は、医療関係の実務経験者ならば最短9カ月で修士号を取得できる。現地の経営大学院のような有名コースに比べて、入学も卒業も、ハーバードとしては比較的容易であり、履修期間が短いので留学費用も節約できる。ちなみに、昨年「このハゲ~!」と秘書を罵倒して大騒動になった「東大法→ハーバード院卒」の元衆議院議員の豊田真由子氏は、ここの出身である。