自分にできる範囲で少しずつ頑張れば十分

特に「学校」というのは不条理な仕組みになりうると僕は思っている。

例えば「仕事」であれば、就職先は自分で選べるし、転職も認められている。けれども「学校」になると、普通に公立小中に通う限り、住んでいる場所に合わせて学校がある程度決められてくるし、転校もなかなかできない。先生方はとても頑張っているけれど、全員に合う教育をするのはとても難しい。

だから、学校が合わなくたって、絶望しなくて良い。

今どん底で苦しんでいるのなら、まずは「こうしなければならない」という思い込みを捨ててみてほしい。それが、やりなおすために一番大切なことだ。

また、「そもそも今は何のやる気も起きない」と悩んでいる人もいるかもしれない。

けれども、どん底状態の時に頑張れないのは、誰でも同じだ。だから今は頑張れない自分を責めず、自分にできる範囲で少しずつ頑張れば十分だ。

「この挫折があったから、今がある」

そう思える日がきっと来る。

変えられるものだけに注目する

もう一つ、人生をやりなおすために必要なことは、「変えられるもの」だけに注目するということだ。

例えば僕の場合、発達障害があること、温かい家庭に生まれなかったということ、早起きが苦手なこと、人とのコミュニケーションが苦手だということ……そういうものは変えられない。

誰しも人間は生まれ持った条件の中で生きなければならない。そしてそれらは「変えられない」こともある。生まれつき恵まれた人たちを見ていて悔しくなる時もあるけれども、他人と比較しても意味はない。だから、「変えられない」ものは諦め、「変えられる」ものに注目してみる。

10代の頃の僕は、「変えられないもの」ばかりに注目して、いつも苦しんでいたように思う。けれども今の僕は、早起きができないから仕事は昼からすることにしているし、対面のコミュニケーションが得意ではないから誰かと揉め事があった時は文章で考えを伝えることも多い。

「変えられるもの」に注目して、少し努力してみよう。それが、人生をやりなおすための一歩になるかもしれない。

新社会人当時の僕に伝えたいこと

「会社員としてうまくいかなかったヤツが起業なんかできるわけがない」

とよく言われたが、僕が生きていくためには、こういう働き方しかできないと思った。

「売上何千億、何兆の会社を作る」というような、希望に満ちた起業ではなかったけれども、その後もコツコツと続けることができた。

別に起業じゃなくても、例えば、税理士、弁護士、社労士のように独立して働きやすい職業もある。あの時は、会社を辞めたら一生が終わるかのように思えていた。けれども、実は色々な生き方がある。

僕みたいに苦手なことから逃げた生き方だって、あっても良いはずだ。だから、会社が合わなくても、絶望する必要はなかった。

むしろ20代のうちは、「どんな仕事が向いているか」「どんな生き方をしていきたいか」を実践しながら悩みぬくのが、他の先進国では普通だ。世界は広く、色々な生き方・色々な考え方がある。多くの大人は「自分の経験」をもとに他人にアドバイスをするけれども、様々な生き方の中で自分らしく生きられれば良いのだと思う。

新社会人だった僕自身に伝えたいのは、そういうことだと思った。

人の生き方はそれぞれだということ。

自分の生きる道は悩みながら見えてくるものだということ。

格好のいい仕事の格言よりも、そういうことを教わりたかったと思う。