もともとパチンコや競馬などギャンブルが大好き

東北の地方都市でIT関連企業に勤める田中涼さん(仮名・30代)は、仮想通貨で大損した1人だ。

「もともと、パチンコや競馬などギャンブルが大好き。ただ負けてばかりで、貯金はほとんどありません」

田中さんが仮想通貨の存在を知ったのは17年6月。いつも見ているユーチューブの競馬予想チャンネルで、配信者が「仮想通貨が儲かる!」と口にしたことがきっかけだ。

「ネットでビットコインのチャートを見たら、すごい勢いで値上がりしているのがわかりました。ただ、当時すでに1BTCは約30万円で、値段が高すぎると感じたので、ネムとリップルを購入しました」

ヘビースモーカーの田中さんはタバコを我慢し、なけなしの3万円を投じた。当時は仮想通貨全体が上昇基調。次第に、田中さんのギャンブル魂に火がついてきた。

「投資額が3万円じゃ儲かったとしてたかが知れています。そこで消費者金融からも50万円を借り、高騰していたビットコインキャッシュ(※)に全資産を投じました」

しかし、その後ビットコインキャッシュは大暴落。借りたカネが返せなくなると焦った田中さんは、損切り(損失額の拡大を避けるため、ある程度の損失を前提に売ること)を決意。12万円の損失となった。

「『絶対に回収してやる』と、調べたら、ザイフという仮想通貨取引所が発行するザイフトークン(ZAIF)がアツいと感じました。私の見立て通り、購入当時1ZAIFは約0.13円だったのがすぐに約2.5円に化けました。これはガチホ(長期保有を意味するネットスラング)するしかないと確信しました」

田中さんのようなザイフトークンに期待していた人をネットでは「ザイファー」と呼んだ。田中さんはツイッター上で有名なザイファーとして、同仮想通貨の普及を目指した。

「みんなが買えばザイフトークンの取引量が増える。相場を上げていくために毎日情報をツイートしました」

田中さんのツイッターアカウント「@PON_PON_SAN」。哀れに思ったファンから仮想通貨を寄付してもらうことも。アカウントに関連したグッズの販売も始めた。

※2017年8月にビットコインから分裂してできた、ビットコインとは別の仮想通貨銘柄。