とはいえ、牛の搾乳は、昼夜を問わず行われていることが多いようです。そのため、市販されている牛乳が夜にとれたものか、昼にとれたものかはわかりません。目の前のパックに含まれた牛乳が、夜にとれた牛乳であれば、寝る前に飲むことで睡眠の質を上げられるかもしれませんが、完全に運任せになってしまいますね……。

運に頼らずとも睡眠に効果のあるものとして、キウイやさくらんぼを寝る前に摂取することで、寝付きが良くなったり、睡眠の質を上げたりする効果があるという研究が行われています(※7、※8)。これは、キウイに含まれるセロトニンという物質や、さくらんぼに含まれるトリプトファンやメラトニンが効果を発揮していると考えられています。

逆に、睡眠の質を下げてしまうものとしては、アルコール、カフェインなどがよく知られているところかと思います。

睡眠時間は少なくても多くても、死亡率は上昇する

今回は、睡眠の質を上げる飲み物・食べ物についてお話しましたが、食事以外の要素についても少し触れておきます。

特に、睡眠時間は非常に重要な問題です。適切な睡眠時間は、一般的には6時間~8時間が標準とされます。日本で行われた研究では、睡眠時間が少ない人だけでなく、多すぎる人も死亡率が高くなることがわかっています(※9)。この結果は、タバコやアルコール、日常の運動、精神疾患の影響を除外しても同様の結果でした。

例えば、7時間睡眠をとっている女性と5時間未満の睡眠しか取らない女性を比べると、死亡率は1.18倍になるという結果が出ています。さらに驚くのは、9時間以上睡眠を取っている人は1.57倍の死亡率ということです。適切な睡眠時間が命にも関係すると考えると、毎日の睡眠を適切にとる大切さがより身にしみてきます。