【3】Goals:目標がハッキリしている

姫を救出するマリオであろうと、『コール・オブ・デューティー』最新版での敵を壊滅させるスペシャル兵士であろうと、すぐれたゲームでは攻略法が明確だ。それでプレーヤーは焦点に集中でき、意思決定をくだしやすい。

職場にもたしかに目標がある。だが、それはあなたの目標だろうか? 会社が目標を達成するとき、あなたの目標もかなえられているだろうか? そうとは言い切れないのではないか?

また目標は、プレッシャーや脅威にもなりうる。私たちは失敗したくないがために、目標を定めなかったりする。けれども勝算が見込める形でゲームを定めれば、目標は脅威ではなくなる。それにゲームで失敗するのはOKなのだ。ゲームは失敗することでより面白くなるのだから。

【4】Feedback:正しく評価され、ご褒美がもらえる

ゲームのプレーヤーが適切なことをすれば、得点、報奨、新たなスキルなどが得られる。間違ったことをすればペナルティが課される。そしてこれらはすべて瞬時に行われる。

会社の構造を変えるコンサルティングを手がけるアーロン・ディグナンによれば、あなたはつねに、ゲームのなかで、今自分がどんな状況にあって、どんなことをしているか、パフォーマンスを上げるにはどうすれば良いのかを把握している。

人を最もやる気にさせるのは、やりがいのある作業で進展が感じられるときだと、調査でも示されている。感じられる進歩は、ささやかなものでいい。ハーバード・ビジネススクールのテレサ・アマビールは言う。「各企業内での調査によると、社員に意欲を起こさせる最善の方法は、毎日の仕事で、容易に進歩が得られるようにすることでした」。

▼「色つきリボン」のために兵士は命を懸ける

実際、たえずささやかな成功が得られるほうが、ときどき大きな成功を手にするより、幸福感につながることがデータによって示されている。「大きな功績にしか関心を示さない者より、小さな成果を途切れなく感じている者のほうが、人生に対する満足感が22%高い」という。

ナポレオンはこう言った。

「兵士は、わずかばかりの色つきリボンのために、延々と命がけで戦うようになる」

ゲームがプレーヤーに与える戦利品も、たいていは格好いいバッジかご褒美動画くらいのものだ。でも、そんなたわいない物を目当てに人びとはゲームをし続ける。

「ささやかな成功」を祝うという行動は、グリットで苦境を生き抜いた者たちに共通して見られる。アルコール中毒者更生会(AA)が成果をあげた理由の1つもこの方法だ。1日を、飲酒せずに過ごせたらそれは小さな成功だ。そして心理学の一流専門誌、『アメリカン・サイコロジスト』に掲載された論文によれば、「一度小さな成功が得られたら、次の小さな成功も得たいという弾みがつく」のだという。