東京大学の合格実績で、37年連続1位の開成を脅かすとすれば、ここと言われる学校がある。2000年ごろから進学実績を伸ばしている渋谷教育学園幕張だ。2017年の現役合格者は開成、灘、筑駒に続く4位(78人)だった。ところが2018年の合格者数は48人と急減。なにが起きたのか。中学受験塾の代表が解説する――。

渋幕の東大実績激減の理由は東日本大震災にあったのか

2018年東京大学合格者数の高校ランキング。1位は37年連続で開成高校(昨年161人→今年174人)だった。また名門の麻布が復権(78人→98人)、神奈川の栄光学園も躍進(62人→77人)という結果だった。

その一方、急激に開成を脅かすほど進学実績を伸ばしていた渋谷教育学園幕張高校(以下、渋幕)は、前年より30人少ない48人だった。“新興”の渋幕の勢いもここまでか――。そうとらえるのは早計だ。なぜなら今年の大学入試には7年前の特殊要因の影響があったと考えられるからだ。

それは、2011年の東日本大震災(3.11)である。震災では勤務先や通学先から自宅に帰れない「帰宅困難者」の問題がクローズアップされた。このため都内から川を越えて千葉市の渋幕まで通学することが敬遠されたのではないだろうか。

実際、震災後初の中学受験となった2012年の受験者数は1次1689人、2次449人と少ない。翌年の2013年には1次1820人、2次521人、2018年には1次の受験者は2000人を突破した。表を見てもわかるように2012年の受験者数の少なさは際立っている。

また、同年の実質倍率も1次2.2倍、2次6.5倍と他年に比べ明らかに低い。特に2次の合格者数が例年と比べて69人と多く、倍率が6.5倍と低くなった。これは1月の1次試験に合格したものの、その後入学を辞退した生徒が多かったため、2月の2次試験の合格者を増やさざるをえなかったということだ。1月に渋幕に合格しても、2月に都内の御三家や難関校に合格した子が、自宅からより近い学校を選び、渋幕を辞退したのだろうと考えられる。

▼震災翌年2012年だけが受験者数が極端に少ない

私は、渋幕は来年、今年を上回る結果を出すとみている。そして受験者や実質倍率の回復ぶりを見る限り、数年後の合格実績は過去最高を更新するに違いない。