長崎屋買収で食品分野と地方展開を補完

ドン・キホーテのもう1つの成長要因は、総合スーパー「長崎屋」の買収による食品分野と地方展開の補完的強化によるものです。従来のドン・キホーテは都心や首都圏の繁華街に出店し、アクセサリー、日用雑貨、家電などを主力商品とし、若者や単身層をターゲットとしていました。

ドン・キホーテ以外の主要ディスカウントストア事業者のほとんどが地方を基盤にしています。そして地方型ディスカウントストアにおける最大の集客品目は食料品です。独自の都市型ビジネスモデルと商品構成を強みとしてきたドン・キホーテは食料品の取り扱いノウハウに乏しく、そのために地方展開が遅れていました。しかし2007年にスーパーマーケットチェーンの長崎屋を買収したことで食料品のノウハウを吸収し、それまで弱点となっていた地方・郊外の店舗を拡大し、主婦やファミリー層もカバーできるようになりました。

「長崎屋」の買収を機に食品を中心とした地方郊外型店舗の展開が可能になった

商品別の売上高を比べると、長崎屋の買収前はアクセサリー、日用雑貨、家電が全体の7割ほどを占めていましたが、買収後は食品の割合が増大し、2015年度は3割を超えています。同時に首都圏以外への出店も大幅に伸びており、2005年度に4割ほどであった地方店舗は2010年度には5割を上回り、2015年度は6割近くとなっています。

このように都心だけでなく地方への出店も可能となったドン・キホーテは、競合各社を大きく引き離すスピードで成長しています。競合大手には福岡のトライアルとミスターマックス、佐賀のダイレックス、岡山の大黒天物産が挙げられて、いずれも売上高は右肩上がりですが、ドン・キホーテは2位のトライアルを大きく引き離すスピードで成長しています。