国連や欧米諸国がモルディブに懸念を表明
読売社説も冒頭部分からこう主張している。
「(モルディブは)海上交通の要衝であり、中国が影響力を拡大させていることから、日本を含む関係国は警戒が必要だ」
さらにモルディブの不安定な情勢についてこう指摘していく。
「混乱が長引けば、地域の安定が損なわれる恐れがある。国連や欧米諸国が、ヤミーン氏への懸念を表明したのは当然だ」
「注意を要するのは、インド洋での影響力を巡る中国とインドのせめぎ合いが、モルディブ情勢にも波及していることだ」
「真珠の首飾り」という中国の海洋進出を警戒せよ
読売社説は中国の海洋戦略について、「中国は、インド洋の沿岸国との協力を深める『真珠の首飾り』と呼ばれる海洋戦略を取る」としたうえで、「港湾などの権益を軍事面で活用し、中国軍の外洋展開を促進する思惑があるのだろう」と危険性を指摘する。
実際、中国は軍事基地に転用できる港湾開発をサンゴ礁に囲まれた南シナ海の島々で行っていることが次々と発覚し、大きな国際問題になった。
それだけではなく、中国はインド洋をも“占領”しようと企んでいるのである。
日本をはじめとする国際社会はこれを許してはならない。東アジアの国々が協力して中国の「真珠の首飾り」を破壊する必要がある。
中国の狙いを国際協力で打ち破れ
インド洋に浮かぶモルディブは世界の海上輸送路の要であり、日本にとっても中東から石油を運ぶうえで欠かせない存在だ。それゆえ日本はモルディブに対し、援助を続けてきたのである。
外務省の「平成29年度開発協力重点方針」の「基本的考え方」の項目は次のように述べている。
「国際協調主義に基づく『積極的平和主義』の立場から、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献すべく、『自由で開かれたインド太平洋戦略』を始めとする我が国の外交政策の推進に向け戦略的かつ効果的な開発協力を実施していく」
簡単にいえば「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、日本外交の大きな柱なのである。そしてモルディブはその柱を支える要所なのだ。
インド洋に中国が進出し、南シナ海の南沙諸島のように軍事利用できる人工島を次々と建設されたのではたまったものではない。
中国は虎視眈々と狙っている。それを国際協力によって打破してくことが何よりも大切なのである。