▼小宮さんからのアドバイス

<strong>小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶</strong>●1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒。旧東京銀行に入行。米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)。96年、小宮コンサルタンツを設立。著書に『日経新聞の数字がわかる本』『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。
小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶●1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒。旧東京銀行に入行。米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)。96年、小宮コンサルタンツを設立。著書に『日経新聞の数字がわかる本』『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。

長期目標は誰でも掲げられます。しかし、実際に目標を完遂できるかどうかとなると話は別です。ほとんどの人は、1年先の年間目標でさえ達成できていないのではないでしょうか。

原因の一つとして、目標がメジャラブル(測定可能)でないことが考えられます。目標が曖昧だと、ブレークダウンして必要な行動を導き出すとき、精度がどうしても甘くなります。たとえば「1年で顧客数を増やす」という目標から、いまやるべき仕事を導き出せますか?

私には無理です。顧客増を目指すにしても、「1年で顧客を20社増やす」と具体的な数値に置き換えて設定しないと月に何社増やせばいいのかさえわからないし、何社に訪問すればいいのかも見えてこない。長期目標を達成したければ、まずは目標を数値化して具体的な行動計画にまで落とし込む必要があるのです。

ただ、測定可能な長期目標を立てても慣れないうちは落とし込みが難しく、うまく目標管理ができない人も多いでしょう。そこで、月間目標を立てることから始めてみることをおすすめします。比較的期間の短い月間目標からスタートすれば、日々のスケジュールへの落とし込みも難しくないはず。

また月間目標であれば、長期目標に比べて検証やフィードバックも容易です。月に一回結果を振り返ることで、翌月はより精度の高い目標管理ができるようになります。これをしばらく続ければ、長期目標を立てるときのコツも自然に身についてくるはずです。

一風変わったアプローチとしては3年連用日記もおもしろいと思います。これは3年分を1冊にまとめた日記で、1年目、2年目、3年目の同じ日付の日記が同ページに上から順に並ぶ構成になっています。なにしろ3年分ですから、1冊書き終えるだけでも継続の習慣が身につきます。小さな努力の積み重ねは、長期目標の達成に欠かせない条件です。

この日記をつけていると、「ほんの数カ月前だと思っていたできごとが、じつは1年前だった」ということがしばしば起こります。そこで自分の時間感覚を修正すれば、1年2年という長期の時間も具体的にイメージしやすくなります。日記で直接目標を管理するわけではありませんが、目標達成に必要な力を磨くツールとしても活用することができます。

(村上 敬=構成 相澤 正=撮影)