▼大坪さんからのアドバイス

<strong>キーストーンフィナンシャル代表取締役 大坪勇二</strong>●1964年生まれ。新日鉄で9年間経理を担当したあと、ソニー生命のフルコミッション営業に転身。2006年、ホロスプランニング創設に参画し、08年より現職。著書に『手取り1655円が1850万円になった営業マンが明かす月収1万倍仕事術』がある。
キーストーンフィナンシャル代表取締役 大坪勇二●1964年生まれ。新日鉄で9年間経理を担当したあと、ソニー生命のフルコミッション営業に転身。2006年、ホロスプランニング創設に参画し、08年より現職。著書に『手取り1655円が1850万円になった営業マンが明かす月収1万倍仕事術』がある。

いいアイデアを思いつくには、前日夜の準備がものをいいます。私は就寝前、翌日に会うお客様の資料などをざっと眺めることを習慣にしています。そこでどのような提案にするのかを簡単に考えておくと、睡眠中に脳が働いてくれるのか、翌朝お客様の心に刺さりそうなキラートークがふっと思い浮かぶことがあるのです。

ただ、そのままでは商談に出向く前に忘れてしまいます。そこで手帳のフリースペースを使い、自宅にいるうちにメモをします。実際、この習慣を身につけてから成約率はグッと上がりました。

手帳のフリースペースは、街を歩いたり人と会話する中で何かひらめいたときにも活用します。その場ではきちんと書き留める余裕がないので、キーワードだけで十分です。とはいえ、キーワードのまま置いておくのでは実際の仕事に活かすことはできません。そこで1週間に1回、土日の朝の時間を使って、大学ノートにキーワードを文章化する作業をしています。

キーワードの文章化を試みると、もやもやとしたアイデアがクリアになって、一過性の思いつきにすぎないのか、再現性のあるアイデアなのかがはっきりと見えてきます。アイデアを手帳に書き留めてもアウトプットにつながらない人が多いのは、おそらく再現できるレベルまで煮詰めていないから。二度手間に感じるかもしれませんが、文章にまとめるという言語化の作業をもうワンステップ加えることによって、漠然としたアイデアも実践的なノウハウへと変わるのです。

本を読んだときも同じです。読書中、気になった個所にアンダーラインを引いたり付箋を張る人は少なくありませんが、そのままでは使える知識になりません。そこでアイデアメモと同様に、週に1回、気になったフレーズをノートに抜き書きします。手間がかかるからといってコピーして貼り付けるのではなく、自分で手書きすることによって内容が頭の中に定着し、必要なときにとりだせるようになります。

営業の仕事では、抜き書きしたフレーズ集は「キラートーク大辞典」として活用できます。もちろん営業以外でも、プレゼンや会議など人に言葉を届ける場面で大いに力を発揮するはずです。

(村上 敬=構成 相澤 正=撮影)