▼小宮さんからのアドバイス

<strong>小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶</strong>●1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒。旧東京銀行に入行。米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)。96年、小宮コンサルタンツを設立。著書に『日経新聞の数字がわかる本』『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。
小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶●1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒。旧東京銀行に入行。米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)。96年、小宮コンサルタンツを設立。著書に『日経新聞の数字がわかる本』『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。

スキマ時間を無駄に過ごしてしまう人には、2つのパターンがあります。いざ時間ができると何をしていいのか迷ってしまう人と、何も考えずに休憩にあてる人です。前者の処方箋は、to doリストを持ち歩くこと以外にありません。空き時間が発生するたびにタスクを洗い出していたら、すぐに時間が過ぎます。私はこれまでto doリストをメモに記していましたが、常に携帯することを考えて2010年からは手帳に書くことにしました。

やるべきタスクが把握できても、その場で処理できる環境がなければ意味がありません。そこで活用したいのがモバイルです。PCのメールを携帯電話に転送しておけば、ちょっとした空き時間に返事を書いたり、内容を把握してスタッフに指示を出すことができます。また、ノートPCも強い味方。昨年私は出張だけで新幹線に102回、飛行機に73回乗りましたが、本や連載の原稿はほとんど車内や機内で書き上げました。

空き時間はインプットにも使えます。朝の通勤時は、日経新聞を読む時間(家では朝食中に読売新聞、会社到着後は日経産業新聞を読みます)。早朝出社しているため、車内は広々していて、新聞も隅々まで目を通すことができます。また、「ニューズウィーク日本版」などの雑誌をカバンに入れておき、訪問先に早く着いてしまったときなどはそれらをチェックします。経済誌を読んでいるビジネスマンは多いと思いますが、ときには興味のない分野の本や雑誌を読んでもいい。意識的にインプットする機会がないだけに、いい刺激になり新たな発想へもつながります。

厄介なのは、せっかくのスキマ時間を休憩にあててしまう人でしょう。わずかな時間でも休もうとするのは、あるいは体調に問題があるからではないでしょうか。睡眠時間が足りないと、ちょっとした移動時間でも眠りたくなります。このタイプは、スキマ時間の活用以前に、ベストの体調を維持できるよう全体のスケジュールから見直す必要があります。

スキマ時間を侮ってはいけません。小さな時間も、積み重ねれば大きな時間になることを忘れないでください。

(村上 敬=構成 相澤 正=撮影)