会社経費で「飲み屋の支出はゼロ」
【原】コツコツやられて来られたことがひしひしと伝わってきます。トヨタの現場でも「当たり前のことを当たり前にやれ」とよく言われていたことを思い出しました。いわゆる「5S」という整理整頓や清掃って小学生でも知っている当たり前の動きですが、徹底していましたからね。
【宗次】そう、「誰もができることを誰もができないほど続ける」というのは重要ですね。
【原】そう言えば宗次さんも清掃で有名ですよね。
【宗次】ええ、今でも毎日掃除していますよ。朝4時30分くらいに起きて、掃除は90分やっています。
【原】ものすごい早起きですね。
【宗次】以前は3時55分起きで「日本一の早起き」を自称していたんですけどね(笑)
【原】ココイチの経営をしている時は夜のお誘いも結構あったんではないでしょうか?
【宗次】ありましたね。でもクラブ・スナックは一回も行ったことありません。会社の経費のなかで飲み屋の支出はゼロでした。
【原】飲み屋の支出がゼロ。すごい。
【宗次】でも夜遅くまで仕事することはしょっちゅうありました。一番多かったのは店舗が気になっちゃって帰れないことですね。1軒見に行ったらもう1軒、と気になってなかなか家に帰れませんでした。
【原】さすがの現場主義ですね。店舗間の移動は運転手さんによる送迎ですか?
【宗次】いえ、車でしたが自分で運転していました。
【原】ご自身で! では、車内ではクラシックでも流しながら運転されていたんでしょうか。宗次さんと言えば専用のホールを作ってしまうほどクラシックがお好きで有名ですものね。
【宗次】いや、車のなかでクラシックも聞いたことが無いですね。完全に遮断していました。その代わり、会議中の音声テープや朝礼の音声テープを車内で聴いていましたね。
【原】わあ、これが「超現場主義」というやつですね。
【宗次】まあ、常に仕事が気になっていましたので。それぐらい経営って面白いですよ。
【原】ある意味、ものすごい狂気的ですよね。でも、ベンチャーのトップって総じて何かにとりつかれたように狂気的ではありますよね。
【宗次】そうかも知れません。だから経営者が「休日出勤」や「残業時間」というのを気にするのはおかしいですよね。全方位に目を向けなければなりませんから時間なんて幾らあっても足りません。極論ですが、休みが欲しかったら、社長になるなということです。
【原】だから早起きにもなる、と。先ほどの「誰もができることを」というのに早起きも含まれますものね。
【宗次】そうですね。私は「通勤ラッシュ」というものの意味が分からなかったんですよね。
【原】「なぜみんな同じ時間に集中して電車に乗るのか?」ってことですよね。確かに。
【宗次】なにか私には分からない喜びでもあるのでしょうか?(笑)
【原】いや、無いと思います(笑)。トヨタの現場でも「現状を常に否定して最善の方法を探求していく」という考え方が当たり前でしたから、私も早くから通勤ラッシュは避けるようになりましたね。
【宗次】なんで皆、もうちょっと早いのに乗らないのでしょうかね。今の時代、朝7時くらいならあいているお店も結構ありますものね。