つまりアマゾンエコーは単なる「スピーカーの進化型」というだけでなく、日常生活の新しいUIとして音声認識が急速に台頭していることのひとつの現れとして捉えるべきなのだ。それゆえ、本当はもはやスピーカーの形状をしている必要もない。住宅や自動車などに、目に見えないようにアマゾンエコーが埋め込まれて、室内や車内で「アレクサ」と呼びかけると、どこからともなく返事が聞こえてくるという未来はすぐにもやってくるだろう。

情報通信のUIは、キーボードのみという初期のCUI(Character-based User Interface/キーボードを用いた文字のみでの操作入力システム)から、マウスを駆使するGUI(Graphical User Interface/画面上の操作+キーボード入力で動かすシステム)のパーソナルコンピューターへと進化し、2010年代になってタッチスクリーンのスマホへと進んだ。この先にはウェアラブルデバイスのジェスチャー操作なども期待されてきたが、ここに来て音声認識の可能性が一気に浮上してきている。音声認識だけですべてのことができるわけではないが、モニター画面を見なくてもいい音声認識には操作を暗黙化し、日常の行動に近づけることができるというメリットがある。ゆえに、広く普及し定着していく可能性は大きい。

VR分野に現れた注目新製品2つ

次に移ろう。VRでは、刮目すべき新製品の発表が2つあった。ひとつはVR分野をリードする企業オキュラスリフトが今年10月に発表した、外部機器が不要で価格も手ごろな「オキュラス・ゴー(Oculus Go)」。同社は199ドルのこの製品を、2018年の早い時期に発売するとされている。

グーグルなどから巨額の資金調達を行いながら、長らくどのような製品を開発しているのか謎だったスタートアップ「マジックリープ(Magic Leap)」も12月、ついにARのデバイス「Magic Leap One」を発表した。2018年には開発者向けに提供を始めるとしている。

VRは長らく次世代の視覚体験として期待されてきたが、実際に販売されている製品が大がかりで、外部の高性能パソコンやゲーム機などを必要とし、価格も高いのがネックだった。しかしオキュラス・ゴーの登場で、消費市場で一気にブレイクすることになるだろう。