何より重要なのは事前の情報収集
外国人の接待を命じられたら、とりあえず寿司を食べに連れていけばいい。安易にそう考えているとしたら、その接待は失敗する可能性大です。
外国人接待で何より重要なのは事前の情報収集です。学生の頃、海外の客人を食事に連れていくことになったときの話です。先方はベジタリアンだと聞いていたので、私は肉を出すお店を避けて、寿司店へ連れていきました。ところが彼は魚もダメだった。ベジタリアンといっても、完全菜食の人もいれば、魚は問題ない人もいます。その確認を怠ったため、相手を喜ばせることができませんでした。
特に注意したいのはアレルギーです。聞いてみると、ピーナッツアレルギーの人は想像以上に多い。店側への問い合わせも必須です。アレルギーのある食材が隠し味に使われる場合もあるので、念には念を入れて確認すべきです。
相手の好き嫌いも聞いておきたいところです。「外国人は自己主張が強いから、食べたいものがあれば向こうから言ってくるはず」という先入観は捨ててください。普段ははっきりモノを言うアメリカ人でも、招かれたときは遠慮する場合も多々あります。こちらから「寿司とステーキ、イタリアン、どこがいい?」と選択肢を提示するほうがいいでしょう。
吉田茂は高官接待に、天ぷら屋を使った
事前に情報収集できなければ、メニューが多い店が無難です。私も急場のときはホテルのビュッフェや居酒屋をよく使っていました。
接待の場ではスマホはありがたい味方です。「What would you like to drink?(飲み物は何にしますか)」程度の簡単なフレーズは覚えているかもしれません。ただ、寿司ネタの鯖を英語で説明するのは難しいはずです。そうした場合もスマホにグーグル翻訳アプリを入れておけば慌てないで済む。「サバ!」と音声入力すれば「Mackerel」と出てきます。
メモとペンも持参したいところです。聞き取れない単語の綴りを書いてもらったり、絵や地図で説明してもいい。視覚情報で補えば何とかなります。
入店後に座る位置も重要です。テーブルかカウンターかを選べるなら、おすすめはカウンター。対面すると緊張しますが、隣なら相手の目を見ずに済むのでお互いに気楽に話せます。かの吉田茂も、外国高官の接待には銀座の天ぷら屋を使ったといいます。おそらく吉田茂もカウンターのリラックス効果を知っていたのでしょう。
なかでもおすすめは、寿司店のカウンターです。最近は英語を巧みに使いこなす寿司職人が珍しくなくなりました。築地や銀座など外国人観光客が多いエリアのお寿司屋さんに、馴染みの店をつくっておきましょう。
ただカウンターの難点は、人数が多いとコミュニケーションが取りづらくなること。4人以上ならテーブル席、できれば個室のほうが聞き取りやすくていいと思います。